カーニー首相は5月13日、内閣改造を行った。閣僚数は首相自身を除いて28人で、男女は同数である。
ドミニク・ルブラン国際貿易大臣兼政府間関係大臣兼枢密院議長は、米加貿易担当大臣兼政府間関係大臣兼統一カナダ経済担当大臣となった。これはカーニー首相が米加貿易を重視していることの現れだろう。国際貿易大臣は、マニンダー・シドゥ議員が務める。
フリーランド運輸及び国内貿易大臣は、留任した。彼女はカナダ・デー(7月1日)までに国内の貿易障壁を撤廃し、GDPを4%増加させると語った。
アニータ・アナンド イノベーション・科学・工業大臣は外務大臣に、メラニー・ジョリー外務・国際開発大臣はイノベーション大臣に役割を交換した。総選挙前には引退を表明しながら、カーニー政権成立で撤回し閣僚に留まったアナンド氏は、首相のお気に入りとされる。外務大臣を長く務めたジョリー氏にとっては降格と見られるが、彼女はこの異動を自ら望んだと言う。
「私はこの職務を求めた。私は政界入りする前はビジネスウーマンで、元は経済開発大臣だった。」
フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務大臣は、財務・国家収益大臣として留任した。
スティーブン・マッキノン仕事・家庭大臣は、下院院内総務となった。これはカリナ・グールド元下院院内総務の産休中に、彼が代行していた職務である。前任者のアリエル・カヤバガ下院院内総務は、任期中に連邦議会が召集されなかったため、何もせず退任する。彼女は新内閣から外された。パティ・ハイデュ先住民サービス大臣が、仕事・家庭大臣に就く。
ゲイリー・アナンダサンガリー法務大臣兼司法長官兼先住民関係大臣兼北方問題大臣は公安大臣に、デビッド・マギンティ公安及び緊急事態準備大臣は国防大臣に異動した。法務大臣兼司法長官兼大西洋州経済開発庁担当大臣には、ショーン・フレイザー議員が就く。彼は総選挙前に引退を表明し、大臣を辞任していたが、カーニー氏に慰留された。北方および北極問題大臣兼カナダ北部経済開発庁担当大臣にはレベッカ・チャートランド議員が、緊急事態準備及びコミュニティ復興大臣兼中西部経済開発担当大臣には、エリナー・オルシェウスキー議員が就く。
スティーブン・ギルボー カナダ文化・アイデンティティ大臣は、カナダ文化・アイデンティティ大臣兼公用語担当大臣として留任する。
ジョアンヌ・トンプソン漁業・海洋・沿岸警備大臣は、漁業大臣として留任する。
レッチー・バルデス下院幹事長は、女性・ジェンダー平等大臣に異動する。
クリー族元酋長のマンディ・ガル=マスティ議員は、先住民サービス大臣に就く。
元イエローナイフ市長のレベッカ・アルティ議員は、政府=先住民関係大臣に就く。
元バンクーバー市長のグレガー・ロバートソン議員は、住宅・インフラ大臣兼太平洋経済開発庁担当大臣に就く。
レナ・メトレッジ・ディアブ議員は、移民・難民・市民権大臣に就く。
ジュリー・ダブルシン議員は、環境・気候変動大臣に就く。
シャフカット・アリ議員は、予算庁長官に就く。
ティム・ホジソン議員は、 エネルギー・天然資源大臣に就く。
マージョリー・ミッチェル議員は、厚生大臣に就く。
ヒース・マクドナルド議員は、農務・農産食料大臣に就く。
ジル・マクナイト議員は、退役軍人大臣に就く。
エバン・ソロモン議員は、人工知能・デジタルイノベーション大臣兼南オンタリオ経済開発エージェンシー担当大臣に就く。
ジョエル・ライトバウンド議員は、政府転換大臣兼公共事業調達大臣に就く。
ビル・ブレア国防大臣、ジョナサン・ウィルキンソンエネルギー・天然資源大臣、ジネット・プチパ=テイラー予算庁長官、ネイト・アースキン=スミス住宅・インフラ・コミュニティ大臣、レイチェル・ベンダヤン移民・難民・市民権大臣、カマル・ケラ厚生大臣、テリー・デュグイド環境・気候変動大臣、エリザベス・ブリエール退役軍人大臣兼カナダ収益開発庁担当大臣、コディ・ブロワ農務・農食物大臣兼地方経済開発大臣、アリ・エサッシ政府転換大臣兼公共事業調達大臣は、内閣から外された。
2025年05月14日
2025年05月12日
自由党、170議席に
ケベック州テルボンヌ選挙区で、裁判所による票の再集計が5月7日に行われた。これまでナタリー・サンクレール=ドジャニェ候補(ケベック連合)が44票差でタチアナ・オーギュスト候補(自由党)を破ったと発表されていたが、再集計の結果、オーギュスト候補が2万3352票で、2万3351票のサンクレール=ドジャニェ候補を1票差で破ったと修正された。これにより下院勢力は、自由党170、保守党143、ケベック連合22、新民主党7、緑の党1(定数343議席)となり、自由党は過半数に2議席足りないことになる。
2025年05月11日
13日に内閣改造
総督府は5月9日、カーニー首相が13日に内閣改造を行うと発表した。
春に総選挙があったので、予算案はまだ上程されていない。カーニー首相は3月14日に就任し、9日後に解散、史上最短の36日後に総選挙を行い、28日後に連邦議会を召集する。これは、1988年総選挙の21日後召集に次いで2番目に早いが、彼には急ぐ理由がある。
カーニー首相は、第一次内閣が短命に終わると知っていたので、女性問題・男女平等・青年・公用語・多様性・包括性・障害者・高齢者などの無任所大臣は任命せず、24人の小規模な内閣を編成した。だが次は本格政権になるので、男女を同数にするという。
春に総選挙があったので、予算案はまだ上程されていない。カーニー首相は3月14日に就任し、9日後に解散、史上最短の36日後に総選挙を行い、28日後に連邦議会を召集する。これは、1988年総選挙の21日後召集に次いで2番目に早いが、彼には急ぐ理由がある。
カーニー首相は、第一次内閣が短命に終わると知っていたので、女性問題・男女平等・青年・公用語・多様性・包括性・障害者・高齢者などの無任所大臣は任命せず、24人の小規模な内閣を編成した。だが次は本格政権になるので、男女を同数にするという。
2025年05月10日
アルバータ独立を問う住民投票を公約
アルバータ州のスミス首相は5月7日、2026年に州の分離独立を問う住民投票を実施する意向を述べた。
「私はマーク・カーニー首相と連邦政府から、過去10年間我々の経済を妨げた制限的な方針と障壁を取り除くための、意味のある行動を見ることを期待している。」
「我々は、アルバータ州民の30から40%が国に不満を持ち、独立を考えているという世論調査を得た。」
「私の仕事は、その数を減らすことである。」
「出口がなければ、それは新党結成に至るだろう。」
スミス首相は、ケベックで独立派のケベック党が支持されている事実を挙げ、アルバータでそれを見たくはないと語った。彼女は、投票は連邦政府からの譲歩を引き出すためであり、自身は独立を志向していないという。
現行法では、住民投票を発議するには有権者の20%の署名を90日以内に集める必要があるが、スミス政権はすでに54号法案を提出しており、成立すれば10%の署名を120日間で集めればよくなる。
イギリスのキャメロン首相は、内心ではEU脱退に反対だったが、EU脱退を主張する党内強硬派を宥和する必要があった。またEU脱退を主張する独立党に人気が集まり、保守票が分散して労働党に政権を奪われることを危惧し、独立党支持者の票を奪うため脱退を問う住民投票を約束した。だがそれは脱退派に宣伝の機会を与えることになり、予想に反し脱退派が勝利してしまった。ケベック独立派は世論調査で住民の25%いることがわかっているが、1995年に実施された住民投票では、独立賛成票は49.9%だった。
アルバータ大学で政治学を教えるフェオ・スナゴフスキー准教授は、スミス首相は反対派が勝つとは保証できず、危険な賭けだと述べる。
「選挙運動は人々に影響を与えるので、少数の人々を納得させるため住民投票を実施した結果、増やしてしまうことはありえる。」
アンガス・リード研究所の世論調査は、アルバータ州民の36%が独立を支持するが、その数字は彼女の連合保守党支持者では65%にも達することを明らかにした。ピーター・マキャフレイ氏は語る。
「アルバータの保守派が、進歩保守党とワイルドローズ党の分散から学んだことは、論争をシャットダウンしようとしても論争を終わらせることにはならず、新党に移行するだけということだ。」
アルバータ大学で憲法学を教えるエリック・アダムズ教授は、州内にはバンフ国立公園やジャスパー国立公園などの王領地や、連邦政府の管轄であるインディアン居留地があり、州はまるごと独立はできないと指摘する。先住民はカナダ連邦と条約を結んでいるから、カナダでなくなれば条約が無効化されるおそれがある。もしくは、独立国の中にカナダの飛び地があることになる。同様の問題は、ケベックの独立を問う住民投票の前にも検討されたが、結論は出なかったという。
「私はマーク・カーニー首相と連邦政府から、過去10年間我々の経済を妨げた制限的な方針と障壁を取り除くための、意味のある行動を見ることを期待している。」
「我々は、アルバータ州民の30から40%が国に不満を持ち、独立を考えているという世論調査を得た。」
「私の仕事は、その数を減らすことである。」
「出口がなければ、それは新党結成に至るだろう。」
スミス首相は、ケベックで独立派のケベック党が支持されている事実を挙げ、アルバータでそれを見たくはないと語った。彼女は、投票は連邦政府からの譲歩を引き出すためであり、自身は独立を志向していないという。
現行法では、住民投票を発議するには有権者の20%の署名を90日以内に集める必要があるが、スミス政権はすでに54号法案を提出しており、成立すれば10%の署名を120日間で集めればよくなる。
イギリスのキャメロン首相は、内心ではEU脱退に反対だったが、EU脱退を主張する党内強硬派を宥和する必要があった。またEU脱退を主張する独立党に人気が集まり、保守票が分散して労働党に政権を奪われることを危惧し、独立党支持者の票を奪うため脱退を問う住民投票を約束した。だがそれは脱退派に宣伝の機会を与えることになり、予想に反し脱退派が勝利してしまった。ケベック独立派は世論調査で住民の25%いることがわかっているが、1995年に実施された住民投票では、独立賛成票は49.9%だった。
アルバータ大学で政治学を教えるフェオ・スナゴフスキー准教授は、スミス首相は反対派が勝つとは保証できず、危険な賭けだと述べる。
「選挙運動は人々に影響を与えるので、少数の人々を納得させるため住民投票を実施した結果、増やしてしまうことはありえる。」
アンガス・リード研究所の世論調査は、アルバータ州民の36%が独立を支持するが、その数字は彼女の連合保守党支持者では65%にも達することを明らかにした。ピーター・マキャフレイ氏は語る。
「アルバータの保守派が、進歩保守党とワイルドローズ党の分散から学んだことは、論争をシャットダウンしようとしても論争を終わらせることにはならず、新党に移行するだけということだ。」
アルバータ大学で憲法学を教えるエリック・アダムズ教授は、州内にはバンフ国立公園やジャスパー国立公園などの王領地や、連邦政府の管轄であるインディアン居留地があり、州はまるごと独立はできないと指摘する。先住民はカナダ連邦と条約を結んでいるから、カナダでなくなれば条約が無効化されるおそれがある。もしくは、独立国の中にカナダの飛び地があることになる。同様の問題は、ケベックの独立を問う住民投票の前にも検討されたが、結論は出なかったという。
2025年05月09日
シーア氏、「影の内閣総理大臣」に
保守党幹部会が5月6日に召集され、アンドリュー・シーア下院院内総務(元党首)が「影の内閣総理大臣」に選出された。
連邦議会は26日に召集されるが、ポワリエーブル党首の補選が間に合わないための一時的な措置となる。シーア院内総務はかつてストーノウェイの公邸に住んだことがあるが、ポワリエーブル党首を一時的に立ち退かせ、自分が一時的に入居することに気が乗らないようだった。
補選は欠員が生じてから、11日以降180日以内に実施しなければならない。カーニー首相は「できるだけ早期に」と述べたが、連邦議会は通常6月上旬から9月上旬まで夏休みになるので、遅れることはありえる。なお最長投票用紙委員会は、この補選に200人の候補擁立を目指しているという。
情報筋によると、保守党幹部会は改革法を採択したという。与党ではなく野党という立場上、全党員の信任投票なしに党首を解任できる方が迅速に対応できるだろう。
連邦議会は26日に召集されるが、ポワリエーブル党首の補選が間に合わないための一時的な措置となる。シーア院内総務はかつてストーノウェイの公邸に住んだことがあるが、ポワリエーブル党首を一時的に立ち退かせ、自分が一時的に入居することに気が乗らないようだった。
補選は欠員が生じてから、11日以降180日以内に実施しなければならない。カーニー首相は「できるだけ早期に」と述べたが、連邦議会は通常6月上旬から9月上旬まで夏休みになるので、遅れることはありえる。なお最長投票用紙委員会は、この補選に200人の候補擁立を目指しているという。
情報筋によると、保守党幹部会は改革法を採択したという。与党ではなく野党という立場上、全党員の信任投票なしに党首を解任できる方が迅速に対応できるだろう。
2025年05月07日
ポワリエーブル党首の補選、幹部会にも連邦議会にも間に合わず
保守党幹部会は、5月6日に召集される。幹部会に出席できるのは上下両院議員だけなので、ポワリエーブル党首は資格がないはずだが、カーニー党首は議員でないのに3月の自由党幹部会に招待されているので、どうなるかは不透明だ。
保守党のデミエン・キュレク議員はすでに、ポワリエーブル党首のために辞職し補選を実施する意向を表明している。
過去に、議席のない党首のため辞職した人たちは、報われた。1983年、ブライアン・マルローニ党首(進歩保守党)のため辞職したエルマー・マッケイ議員は、マルローニ内閣の閣僚に任じられた。1990年、ジャン・クレチエン党首(自由党)のために辞職したフェルナン・ロビショー議員も、クレチエン内閣の閣僚に任じられた。だがこれらは党首が首相になれた場合であり、ポワリエーブル党首もそうなるという保証はない。
接戦選挙区では票の再集計が行われるため、それまで当落が確定しない。また議会法の規定により、当選した議員は公報に掲載されるまで辞職できない。掲載されるのは投票日の30日以降であり、補選は欠員が生じてから11日以降180日以内に実施される。5月末に召集される連邦議会に補選が間に合わないため、議員でないポワリエーブル党首は議場に入れない(傍聴席にはいると思われる)から、議員の誰かを一時的に「影の内閣総理大臣」にする必要がある。
議員たちがポワリエーブル党首をどう評価しようと、改革法を採択するかどうかの投票は実施される。採択する場合は、議員たちは党員の同意なく党首を不信任でき、党首は議員を幹部会から除名できる。
選挙対策本部長のジェニー・バーン氏には、多くの批判があった。次の幹部会で彼女はどうなるかという質問に、彼は答えなかった(注※選挙対策本部長は党首が任命するもので、幹部会で信任する対象ではないし、彼が党首に留任できると決まったわけではない)。
「彼女は多くの激務をこなした。そして我々のチームは、それを誇りに思う。」
総選挙の結果については、次のように総括した。
「もしあなたが2年前、得票数41%を取ると言ったら『おお、何て野心的な』と私は言っただろう。だがあなたが、得票率41%でも勝てないと言ったら『あなたはどうかしている』と私は言っただろう。」
保守党のデミエン・キュレク議員はすでに、ポワリエーブル党首のために辞職し補選を実施する意向を表明している。
過去に、議席のない党首のため辞職した人たちは、報われた。1983年、ブライアン・マルローニ党首(進歩保守党)のため辞職したエルマー・マッケイ議員は、マルローニ内閣の閣僚に任じられた。1990年、ジャン・クレチエン党首(自由党)のために辞職したフェルナン・ロビショー議員も、クレチエン内閣の閣僚に任じられた。だがこれらは党首が首相になれた場合であり、ポワリエーブル党首もそうなるという保証はない。
接戦選挙区では票の再集計が行われるため、それまで当落が確定しない。また議会法の規定により、当選した議員は公報に掲載されるまで辞職できない。掲載されるのは投票日の30日以降であり、補選は欠員が生じてから11日以降180日以内に実施される。5月末に召集される連邦議会に補選が間に合わないため、議員でないポワリエーブル党首は議場に入れない(傍聴席にはいると思われる)から、議員の誰かを一時的に「影の内閣総理大臣」にする必要がある。
議員たちがポワリエーブル党首をどう評価しようと、改革法を採択するかどうかの投票は実施される。採択する場合は、議員たちは党員の同意なく党首を不信任でき、党首は議員を幹部会から除名できる。
選挙対策本部長のジェニー・バーン氏には、多くの批判があった。次の幹部会で彼女はどうなるかという質問に、彼は答えなかった(注※選挙対策本部長は党首が任命するもので、幹部会で信任する対象ではないし、彼が党首に留任できると決まったわけではない)。
「彼女は多くの激務をこなした。そして我々のチームは、それを誇りに思う。」
総選挙の結果については、次のように総括した。
「もしあなたが2年前、得票数41%を取ると言ったら『おお、何て野心的な』と私は言っただろう。だがあなたが、得票率41%でも勝てないと言ったら『あなたはどうかしている』と私は言っただろう。」
2025年05月06日
暫定党首にドン・デービス
新民主党の連邦評議会は5月5日、ドン・デービス議員(ブリティッシュコロンビア州バンクーバー・キングズウェイ選挙区)を暫定党首に選出した。任期は、次の党首が選任されるまでである。
新民主党は公式政党の地位を失ったので、委員会に委員を送ることはできず、代表質問は原則としてできず、調査のための予算もつかない。
ニコル・テュルメル元議員は、癌のため辞任したジャック・レートン党首に代わり、2011年党の歴史で初めて暫定党首に就いた。彼女は、自分が暫定党首に就いたときとは規模がかなり違うが、与党は過半数割れになっており、新民主党は見かけより大きな力を持っていると指摘した。
「それは人々が考えるより、もっと重要であると言わねばならない。」
写真:ジャグミート・シン党首(左)とドン・デービス議員(右)(2023年撮影)。
新民主党は公式政党の地位を失ったので、委員会に委員を送ることはできず、代表質問は原則としてできず、調査のための予算もつかない。
ニコル・テュルメル元議員は、癌のため辞任したジャック・レートン党首に代わり、2011年党の歴史で初めて暫定党首に就いた。彼女は、自分が暫定党首に就いたときとは規模がかなり違うが、与党は過半数割れになっており、新民主党は見かけより大きな力を持っていると指摘した。
「それは人々が考えるより、もっと重要であると言わねばならない。」
写真:ジャグミート・シン党首(左)とドン・デービス議員(右)(2023年撮影)。
2025年05月05日
議員引き抜きはあるか
自由党は169議席を獲得し、過半数に3議席足りない。議席率49.3%は、カナダ史上2番目に強力な少数政権となる。これより強力だったのは1965年のピアソン政権で、265議席中131議席の49.4%だった。
自由党は、他党から3人引き抜けば過半数に達するが、トロント大学で政治学を教えるクリストファー・コクレイン准教授はそれは難しいと指摘する。第一に、移籍先の党で信用を疑われる。第二に、閣僚ポストなどで厚遇されると、その党に長くいる人たちの反感を買う。第三に、元いた党が強い選挙区で次の選挙を戦わなければならない。
党移籍はときどきあることだが、与野党伯仲下にあって大臣のポストまで用意された例としては、ベリンダ・ストロナック議員が2005年、保守党から自由党に移籍した例が有名だ。過半数割れのマーチン政権は予算案成立が危ぶまれていたが、彼女は採決の2日前に移籍し、人的資源・技能向上大臣のポストまで与えられた。採決の結果は152対152の同数となり、議長の投票によって成立した。彼女が前年保守党党首選に出馬していたことや、ピーター・マッケイ副党首と交際していたことは、話をさらにややこしくした。彼女は同じ選挙区で2006年、自由党から出馬し当選したが、2008年総選挙では出馬を断念し、引退に追い込まれた。
(https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1611536&page=1&id=13046214 参照)
デビッド・エマソン議員は2006年、自由党から出馬し当選したが、選挙に勝ったのは保守党で、当選の2週間後に移籍し、産業大臣、後にバンクーバー五輪担当大臣、国際貿易大臣、外務大臣に任じられた。これは下院倫理委員会の調査の対象となった。彼も2008年総選挙の出馬を断念し、引退に追い込まれた。
自由党ブレーンのスティービー・オブライエン氏は、自由党は総選挙をおそれる必要はなく、引き抜きも必要ないと語った。その理由として、新民主党は党首を欠いていて、公式政党の地位を失い財政に行き詰まり、すぐに総選挙を戦うことはできない。またケベック連合は、トランプの脅威があるうちは政権を支えるだろうと語った。
自由党は、他党から3人引き抜けば過半数に達するが、トロント大学で政治学を教えるクリストファー・コクレイン准教授はそれは難しいと指摘する。第一に、移籍先の党で信用を疑われる。第二に、閣僚ポストなどで厚遇されると、その党に長くいる人たちの反感を買う。第三に、元いた党が強い選挙区で次の選挙を戦わなければならない。
党移籍はときどきあることだが、与野党伯仲下にあって大臣のポストまで用意された例としては、ベリンダ・ストロナック議員が2005年、保守党から自由党に移籍した例が有名だ。過半数割れのマーチン政権は予算案成立が危ぶまれていたが、彼女は採決の2日前に移籍し、人的資源・技能向上大臣のポストまで与えられた。採決の結果は152対152の同数となり、議長の投票によって成立した。彼女が前年保守党党首選に出馬していたことや、ピーター・マッケイ副党首と交際していたことは、話をさらにややこしくした。彼女は同じ選挙区で2006年、自由党から出馬し当選したが、2008年総選挙では出馬を断念し、引退に追い込まれた。
(https://mixi.jp/view_bbs.pl?comm_id=1611536&page=1&id=13046214 参照)
デビッド・エマソン議員は2006年、自由党から出馬し当選したが、選挙に勝ったのは保守党で、当選の2週間後に移籍し、産業大臣、後にバンクーバー五輪担当大臣、国際貿易大臣、外務大臣に任じられた。これは下院倫理委員会の調査の対象となった。彼も2008年総選挙の出馬を断念し、引退に追い込まれた。
自由党ブレーンのスティービー・オブライエン氏は、自由党は総選挙をおそれる必要はなく、引き抜きも必要ないと語った。その理由として、新民主党は党首を欠いていて、公式政党の地位を失い財政に行き詰まり、すぐに総選挙を戦うことはできない。またケベック連合は、トランプの脅威があるうちは政権を支えるだろうと語った。
2025年05月03日
保守党議員、辞職する意向
保守党のデミエン・キュレク議員(アルバータ州バトルリバー-クロウフット選挙区)は5月2日、自分が辞職して補選を行うと発表した。ポワリエーブル党首は、この申し出を受諾した。ここは保守党の鉄板選挙区で、彼は得票率70%以上で3回当選している。
問題は、7日に保守党幹部会が召集され、補選が間に合わないことである。保守党がもし改革法を採択すれば、党員に依らず幹部会だけで党首を不信任できる。
どちらであれ、下院に議席を持つ者を「影の内閣総理大臣」として幹部会で選任することになる。メリッサ・ランツマン副党首、アンドリュー・シーア下院院内総務(元党首)、マイケル・バレット議員の名が挙がっているが、3人とも(勘ぐられたくないのか)SNSで「ポワリエーブル党首を支持する」とわざわざ表明している。保守党のインサイダーは、7日の幹部会で「影の内閣総理大臣」の選任はされないのではないかと語った。
主戦場とされるオンタリオで、予想は自由党80超に対し保守党40弱だった。だが蓋を開けてみれば、自由党69議席(5減)・保守党53議席(15増)だった。オンタリオ南西部では保守党8に対し自由党2、ヨーク地方では保守党8に対し自由党2、オンタリオ中部では保守党9に対し自由党1と、逆に圧倒した。
自由党が勝利できたのは、ケベックでケベック連合の議席を奪い躍進できたからである。保守党は歴史的にケベックで弱いことから、ケベックで勝てなくても仕方ないという考えが強く、むしろ11議席も獲れたのは上々だろう。
保守党内では今回総選挙の結果を、悪くなかったとする見方が支配的なようだ。
カーニー首相は2日、次のように述べた。
「できるだけ早くそうするよう、私はポワリエーブル氏にすでに知らせた。駆け引きはない、全く。」
他党の議員を勧誘して自党に移籍させる考えはあるかと問われると、対トランプ戦略について他党党首と会談した結果、彼らは同じ方向に進むものと期待していると語り、ホッケーにたとえて、カナダ人の選手は異なるチームでプレーするが、オリンピックや4か国対抗戦では全員がチーム・カナダで戦うと述べた。
新民主党との協定は考えているかと問われると、こう答えた。
「端的に言って、ノーだ。」
問題は、7日に保守党幹部会が召集され、補選が間に合わないことである。保守党がもし改革法を採択すれば、党員に依らず幹部会だけで党首を不信任できる。
どちらであれ、下院に議席を持つ者を「影の内閣総理大臣」として幹部会で選任することになる。メリッサ・ランツマン副党首、アンドリュー・シーア下院院内総務(元党首)、マイケル・バレット議員の名が挙がっているが、3人とも(勘ぐられたくないのか)SNSで「ポワリエーブル党首を支持する」とわざわざ表明している。保守党のインサイダーは、7日の幹部会で「影の内閣総理大臣」の選任はされないのではないかと語った。
主戦場とされるオンタリオで、予想は自由党80超に対し保守党40弱だった。だが蓋を開けてみれば、自由党69議席(5減)・保守党53議席(15増)だった。オンタリオ南西部では保守党8に対し自由党2、ヨーク地方では保守党8に対し自由党2、オンタリオ中部では保守党9に対し自由党1と、逆に圧倒した。
自由党が勝利できたのは、ケベックでケベック連合の議席を奪い躍進できたからである。保守党は歴史的にケベックで弱いことから、ケベックで勝てなくても仕方ないという考えが強く、むしろ11議席も獲れたのは上々だろう。
保守党内では今回総選挙の結果を、悪くなかったとする見方が支配的なようだ。
カーニー首相は2日、次のように述べた。
「できるだけ早くそうするよう、私はポワリエーブル氏にすでに知らせた。駆け引きはない、全く。」
他党の議員を勧誘して自党に移籍させる考えはあるかと問われると、対トランプ戦略について他党党首と会談した結果、彼らは同じ方向に進むものと期待していると語り、ホッケーにたとえて、カナダ人の選手は異なるチームでプレーするが、オリンピックや4か国対抗戦では全員がチーム・カナダで戦うと述べた。
新民主党との協定は考えているかと問われると、こう答えた。
「端的に言って、ノーだ。」
2025年05月01日
各党の選挙後の動き
カーニー首相はまず、連邦議会を召集する。その前に、閣僚に落選者がいるので、内閣改造はありえる。議会冒頭でスローン・スピーチ(施政方針演説)があり、そのあと信任投票が行われる。春に解散があり、予算案が上程されていないので、これも作成し、信任投票が行われる。どちらの投票も、否決は内閣不信任と見なされ、解散・総選挙をひき起こすことになる。カーニー政権は過半数割れなので、三大野党が否決すれば政権打倒できそうだが、総選挙は終わったばかりで、新民主党は党首が辞任を表明しており、保守党も党首が落選しているので、実際には否決はできないだろう。この過半数にわずか3議席足りない少数政権は、カナダ史上最も強力な少数政権であり、意外と長続きするかもしれない。
新民主党は、次の党首を選ぶのに半年以上かかるだろう。したがって新民主党は、それまで次の総選挙を戦うことはできない。
難しいのは、保守党である。「影の内閣総理大臣」は公職だが、ポワリエーブル党首には議席がない。そこで彼が党首に留任したまま、誰かを下院院内総務にして、その人を「影の内閣総理大臣」にすることになるだろう。
ポワリエーブル党首の総選挙における評価は、難しい。一時は圧倒的にリードしながら、トルドー政権を解散・総選挙に追い込むことができず、総選挙が公示されたときは、カナダは反トランプ感情に満ちていて、親トランプの彼は大敗すると予想された。彼は最後までトランプを攻撃しなかったが、自由党を過半数割れに追い込んだ。
彼が党首を続けるには、誰かが辞職して補選を行い当選することが必要だ。だが、彼のために辞職してくれる人がいるかどうかはわからない。誰かが辞職して彼に議席を譲った場合、彼が総選挙に勝利して首相の座に就いたあかつきにはその人は報われるだろうが、そうなるという保証はない。
彼は首相になれなかったので、次の党大会では党首の信任投票が行われる。これは何人かの候補から一人を選ぶのではなく、一人の党首を信任するかしないかを問うもので、たいてい信任される。不信任されたのは、筆者が知るかぎりでは2016年のトム・マルケア党首(新民主党)だけだ。
党大会までは相当な日数があるが、その前に連邦議会召集時に幹部会を開催し、改革法を採択するかどうかを投票する。採択する場合は、議員たちは党首を不信任できる。保守党が採択するかどうかはわからないし、信任投票したとしてどうなるか予想もつかない。幹部会の一人は、ポワリエーブル党首を降ろそうという組織的な動きは「今のところ」ないと語った。
「影の内閣総理大臣」になりそうな人として、メリッサ・ランツマン副党首、アンドリュー・シーア下院院内総務(元党首)、マイケル・バレット議員の名が挙がっているが、3人ともポワリエーブル党首支持を表明している。二大政党党首にはチャンスが2度与えられるのが常道だが、保守党は2代続けて一度の敗北で党首が降ろされており、油断はできない。
ポワリエーブル党首は、すぐにでも補選を行い、議会に復帰して、すぐにでも政権奪取のための新たな戦いを挑みたいだろうが、第一に辞職してくれる人がいるかどうかわからない、第二に新民主党は弱体化されあてにできないという問題がある。
緑の党のペドノー共同党首は、2度目の落選を経験し、辞任した。彼は2024年6月に辞任し、2025年1月に共同党首に復帰していた。
新民主党は、次の党首を選ぶのに半年以上かかるだろう。したがって新民主党は、それまで次の総選挙を戦うことはできない。
難しいのは、保守党である。「影の内閣総理大臣」は公職だが、ポワリエーブル党首には議席がない。そこで彼が党首に留任したまま、誰かを下院院内総務にして、その人を「影の内閣総理大臣」にすることになるだろう。
ポワリエーブル党首の総選挙における評価は、難しい。一時は圧倒的にリードしながら、トルドー政権を解散・総選挙に追い込むことができず、総選挙が公示されたときは、カナダは反トランプ感情に満ちていて、親トランプの彼は大敗すると予想された。彼は最後までトランプを攻撃しなかったが、自由党を過半数割れに追い込んだ。
彼が党首を続けるには、誰かが辞職して補選を行い当選することが必要だ。だが、彼のために辞職してくれる人がいるかどうかはわからない。誰かが辞職して彼に議席を譲った場合、彼が総選挙に勝利して首相の座に就いたあかつきにはその人は報われるだろうが、そうなるという保証はない。
彼は首相になれなかったので、次の党大会では党首の信任投票が行われる。これは何人かの候補から一人を選ぶのではなく、一人の党首を信任するかしないかを問うもので、たいてい信任される。不信任されたのは、筆者が知るかぎりでは2016年のトム・マルケア党首(新民主党)だけだ。
党大会までは相当な日数があるが、その前に連邦議会召集時に幹部会を開催し、改革法を採択するかどうかを投票する。採択する場合は、議員たちは党首を不信任できる。保守党が採択するかどうかはわからないし、信任投票したとしてどうなるか予想もつかない。幹部会の一人は、ポワリエーブル党首を降ろそうという組織的な動きは「今のところ」ないと語った。
「影の内閣総理大臣」になりそうな人として、メリッサ・ランツマン副党首、アンドリュー・シーア下院院内総務(元党首)、マイケル・バレット議員の名が挙がっているが、3人ともポワリエーブル党首支持を表明している。二大政党党首にはチャンスが2度与えられるのが常道だが、保守党は2代続けて一度の敗北で党首が降ろされており、油断はできない。
ポワリエーブル党首は、すぐにでも補選を行い、議会に復帰して、すぐにでも政権奪取のための新たな戦いを挑みたいだろうが、第一に辞職してくれる人がいるかどうかわからない、第二に新民主党は弱体化されあてにできないという問題がある。
緑の党のペドノー共同党首は、2度目の落選を経験し、辞任した。彼は2024年6月に辞任し、2025年1月に共同党首に復帰していた。
2025年04月29日
新民主党惨敗、シン党首辞任表明
新民主党は、わずか7議席という結党以来最悪の惨敗を喫し、シン党首が辞任を表明した。
東部では、1議席も獲れなかった。
ケベックでは、アレクサンドル・ブレリス議員が唯一の議席を死守した。ベルティエ-マスキノンジェ選挙区では、かつてここで2回当選したルース・エレン・ブロソー候補が出馬したが、ケベック連合のイブ・ペロン議員に3回連続で敗れた。
ヌナブートでは、保有する1議席を死守した。
オンタリオでは、保有する5議席全部を失い、一つも獲れなかった。
マニトバでは、保有する3議席のうちの一つを守っただけに終わった。エルムウッド-トランスコーナ選挙区は新民主党が長年保持し、2024年の補選で死守した選挙区だが、接戦のすえ落とした。2008年からニキ・アシュトン議員が保持するチャーチル-キーワティヌック・アスキ選挙区も失った。
アルバータでは、保有する2議席のうちエドモントン・ストラスコーナ選挙区を死守した。
ブリティッシュコロンビアでは、わずか3議席に終わった。シン党首は区割り変更が響いたのか、次点にもなれず落選した。
新民主党は9月に政権離脱したとき、支持率は20%程度あった。自由党は過半数割れとなっていたので、新民主党が他党と協力すれば、総選挙に追い込めただろう。だがシン党首は、自分たちが手がけたファーマケアとデンタルケアが成立するまでは、解散するわけにはいかなかった。政権離脱しておきながら倒閣しないというやり方はわかりにくく、ポワリエーブル党首に「シン党首は議員年金を受給する資格を得るまで解散できないのだ」と皮肉られた。
もっと早く内閣不信任していれば、今日のこの惨敗は回避できただろう。だがそれは、自由党を壊滅させ、保守党過半数を招くことになっただろう。
「何百万もの国民、高齢者や子供たちを助けたデンタルケアの成立は、我が人生における名誉である。」
シン党首がこう言うのは、決して負け惜しみではなく、本心だと思う。だがその代償は、高くついた。
東部では、1議席も獲れなかった。
ケベックでは、アレクサンドル・ブレリス議員が唯一の議席を死守した。ベルティエ-マスキノンジェ選挙区では、かつてここで2回当選したルース・エレン・ブロソー候補が出馬したが、ケベック連合のイブ・ペロン議員に3回連続で敗れた。
ヌナブートでは、保有する1議席を死守した。
オンタリオでは、保有する5議席全部を失い、一つも獲れなかった。
マニトバでは、保有する3議席のうちの一つを守っただけに終わった。エルムウッド-トランスコーナ選挙区は新民主党が長年保持し、2024年の補選で死守した選挙区だが、接戦のすえ落とした。2008年からニキ・アシュトン議員が保持するチャーチル-キーワティヌック・アスキ選挙区も失った。
アルバータでは、保有する2議席のうちエドモントン・ストラスコーナ選挙区を死守した。
ブリティッシュコロンビアでは、わずか3議席に終わった。シン党首は区割り変更が響いたのか、次点にもなれず落選した。
新民主党は9月に政権離脱したとき、支持率は20%程度あった。自由党は過半数割れとなっていたので、新民主党が他党と協力すれば、総選挙に追い込めただろう。だがシン党首は、自分たちが手がけたファーマケアとデンタルケアが成立するまでは、解散するわけにはいかなかった。政権離脱しておきながら倒閣しないというやり方はわかりにくく、ポワリエーブル党首に「シン党首は議員年金を受給する資格を得るまで解散できないのだ」と皮肉られた。
もっと早く内閣不信任していれば、今日のこの惨敗は回避できただろう。だがそれは、自由党を壊滅させ、保守党過半数を招くことになっただろう。
「何百万もの国民、高齢者や子供たちを助けたデンタルケアの成立は、我が人生における名誉である。」
シン党首がこう言うのは、決して負け惜しみではなく、本心だと思う。だがその代償は、高くついた。
自由党4選、少数政権に
4月28日に実施された連邦議会総選挙は、自由党170(43.7%)、保守党143(41.3%)、ケベック連合22(6.3%)、新民主党7(6.3%)、緑の党1(1.3%)、人民党0(0.7%)、その他0(0.5%)(定数343議席、括弧内は得票率)という結果となり、自由党が少数政権を樹立する。
大票田オンタリオでは自由党が優勢と見られたが、保守党がトロント周辺の905エリアで健闘し、40議席台の予想を覆し53議席を獲得した。保守党は120議席台と予想されたが150台に迫る勢いで、自由党過半数を阻止した。
緑の党は、メイ共同党首のブリティッシュコロンビア州サーニッチ-ガルフアイランズ選挙区を死守したものの、オンタリオ州キッチナー・センター選挙区では惜しくも358票差で敗れた。
新民主党はオンタリオで1議席も獲れず、中西部で2議席に終わる惨敗を喫し、シン党首もブリティッシュコロンビア州バーナビー・セントラル選挙区で落選し辞任を表明した。
ケベック連合は野党第2党の位置をキープしたものの、10議席以上を失った。ケベックでケベック連合が議席を維持できなかったことが、自由党勝利の原動力となった。
保守党は、トルドー時代には圧倒的な支持率を誇っていたが、首相交代によって支持率は急落した。大敗を予想されたが、自由党を過半数割れに追い込んだため、総括が難しい。ポワリエーブル党首は、記録的な91人が立候補したオンタリオ州カールトン選挙区で惜敗した。野党第一党の党首は「影の内閣総理大臣」として公職に就くが、彼が党首に留任できるかどうかは不明である。
自由党のカーニー首相はオンタリオ州ネピアン選挙区で、ケベック連合のブランシェ党首はケベック州ブレーユ-シャンブリ選挙区で当選した。緑の党のペドノー共同党首は、ケベック州ウートルモン選挙区で最下位に終わった。人民党のベルニエ党首は、ケベック州ボース選挙区で落選し、今回も当選者を出せなかった。
大票田オンタリオでは自由党が優勢と見られたが、保守党がトロント周辺の905エリアで健闘し、40議席台の予想を覆し53議席を獲得した。保守党は120議席台と予想されたが150台に迫る勢いで、自由党過半数を阻止した。
緑の党は、メイ共同党首のブリティッシュコロンビア州サーニッチ-ガルフアイランズ選挙区を死守したものの、オンタリオ州キッチナー・センター選挙区では惜しくも358票差で敗れた。
新民主党はオンタリオで1議席も獲れず、中西部で2議席に終わる惨敗を喫し、シン党首もブリティッシュコロンビア州バーナビー・セントラル選挙区で落選し辞任を表明した。
ケベック連合は野党第2党の位置をキープしたものの、10議席以上を失った。ケベックでケベック連合が議席を維持できなかったことが、自由党勝利の原動力となった。
保守党は、トルドー時代には圧倒的な支持率を誇っていたが、首相交代によって支持率は急落した。大敗を予想されたが、自由党を過半数割れに追い込んだため、総括が難しい。ポワリエーブル党首は、記録的な91人が立候補したオンタリオ州カールトン選挙区で惜敗した。野党第一党の党首は「影の内閣総理大臣」として公職に就くが、彼が党首に留任できるかどうかは不明である。
自由党のカーニー首相はオンタリオ州ネピアン選挙区で、ケベック連合のブランシェ党首はケベック州ブレーユ-シャンブリ選挙区で当選した。緑の党のペドノー共同党首は、ケベック州ウートルモン選挙区で最下位に終わった。人民党のベルニエ党首は、ケベック州ボース選挙区で落選し、今回も当選者を出せなかった。
2025年04月28日
各党の選挙戦略
●テレビ討論以前
訪問回数 自党選挙区 他党選挙区
自 由 党 29回 57% 43%
保 守 党 47回 25% 75%
新民主党 30回 22% 78%
ケベック連合 33回 54% 46%
●テレビ討論以降
訪問回数 自党選挙区 他党選挙区
自 由 党 34回 36% 64%
保 守 党 25回 21% 79%
新民主党 20回 61% 39%
ケベック連合 27回 84% 16%
選挙戦の最初の3週で、新民主党のシン党首が訪問した78%は、他党の選挙区だった。これは他党に比べると非常に高い数字で、同党が他党の選挙区を奪い、躍進を目論んでいたことがわかる。
だがテレビ討論を境に、同党は守勢に転じる。公式政党ステータスを失えば院内での活動は制限されるため、12議席を死守する方針に転換したのだ。それゆえ選挙期間の終盤は、シン党首が訪問した選挙区の61%が、新民主党の保持する選挙区となった。
バンクーバー・キングズウェイ選挙区は、新民主党が2008年から保持する鉄板選挙区だが、今回は激戦となっている。シン党首はここに、3回も訪問している。自身が保有するバーナビー・セントラル選挙区にも4度訪問しているが、こちらは落選が予想されている。これらの訪問は、同党がこれらの選挙区を失うわけにはいかないという苦しい事情を表すものだ。
なお26日バンクーバーで、フィリピン人の祭に車が突入し11人が死亡する事件があり、シン党首はその数分前まで現地にいた。
マギル大学で政治学を教えるタリ・アジャディ准教授は、新民主党はもっと早く守勢に転じるべきだったと述べた。
保守党が目指しているものは、政権奪取であり、ほかの何物でもない。そして競争相手は自由党であり、ほかの誰でもない。ポワリエーブル党首の訪問先の4分の3以上は保守党が奪取したい他党の選挙区であり、そのうち80%は自由党の選挙区だった。
アジャディ准教授は、次のように説明する。
「政権奪取のため、彼らは攻勢を取る必要がある。そして彼らは、GTAのような地域で議席を奪う必要がある。」
他党が飛行機で国中を飛び回っているのに対し、ケベック連合はケベック州にだけ候補を立て、バスでケベック州を巡っている。ブランシェ党首は選挙戦序盤では攻勢と守勢半々だったが、テレビ討論以降は84%は保有する選挙区を廻り、守勢を取った。彼は最後の10日間で、激戦地となっているテレーズ-デ・ブレンビル選挙区とロンゲイユ-サン=ユベール選挙区を複数回訪問している。アジャディ准教授は、ケベック連合がこれらの選挙区を死守し、自由党の侵入を阻止することがあれば、自由党の過半数阻止もありえると分析した。
訪問回数 自党選挙区 他党選挙区
自 由 党 29回 57% 43%
保 守 党 47回 25% 75%
新民主党 30回 22% 78%
ケベック連合 33回 54% 46%
●テレビ討論以降
訪問回数 自党選挙区 他党選挙区
自 由 党 34回 36% 64%
保 守 党 25回 21% 79%
新民主党 20回 61% 39%
ケベック連合 27回 84% 16%
選挙戦の最初の3週で、新民主党のシン党首が訪問した78%は、他党の選挙区だった。これは他党に比べると非常に高い数字で、同党が他党の選挙区を奪い、躍進を目論んでいたことがわかる。
だがテレビ討論を境に、同党は守勢に転じる。公式政党ステータスを失えば院内での活動は制限されるため、12議席を死守する方針に転換したのだ。それゆえ選挙期間の終盤は、シン党首が訪問した選挙区の61%が、新民主党の保持する選挙区となった。
バンクーバー・キングズウェイ選挙区は、新民主党が2008年から保持する鉄板選挙区だが、今回は激戦となっている。シン党首はここに、3回も訪問している。自身が保有するバーナビー・セントラル選挙区にも4度訪問しているが、こちらは落選が予想されている。これらの訪問は、同党がこれらの選挙区を失うわけにはいかないという苦しい事情を表すものだ。
なお26日バンクーバーで、フィリピン人の祭に車が突入し11人が死亡する事件があり、シン党首はその数分前まで現地にいた。
マギル大学で政治学を教えるタリ・アジャディ准教授は、新民主党はもっと早く守勢に転じるべきだったと述べた。
保守党が目指しているものは、政権奪取であり、ほかの何物でもない。そして競争相手は自由党であり、ほかの誰でもない。ポワリエーブル党首の訪問先の4分の3以上は保守党が奪取したい他党の選挙区であり、そのうち80%は自由党の選挙区だった。
アジャディ准教授は、次のように説明する。
「政権奪取のため、彼らは攻勢を取る必要がある。そして彼らは、GTAのような地域で議席を奪う必要がある。」
他党が飛行機で国中を飛び回っているのに対し、ケベック連合はケベック州にだけ候補を立て、バスでケベック州を巡っている。ブランシェ党首は選挙戦序盤では攻勢と守勢半々だったが、テレビ討論以降は84%は保有する選挙区を廻り、守勢を取った。彼は最後の10日間で、激戦地となっているテレーズ-デ・ブレンビル選挙区とロンゲイユ-サン=ユベール選挙区を複数回訪問している。アジャディ准教授は、ケベック連合がこれらの選挙区を死守し、自由党の侵入を阻止することがあれば、自由党の過半数阻止もありえると分析した。
2025年04月27日
自由党過半数は確実
投票日当日の世論調査発表は法律で禁止されているため、2日前に調査した内容を前日に発表するのが最も遅いデータとなる。4月26日にリット社が実施した政党支持率調査は、自由党42.5%、保守党38.7%、新民主党8.6%、ケベック連合6.0%、緑の党2.2%、人民党1.4%、その他0.8%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党189(144~220)、保守党125(99~163)、ケベック連合23(13~29)、新民主党5(0~17)、緑の党1(0~3)、人民党0(0~0)、その他0(0~0)(定数343議席、括弧内は最小~最大)となる。リット社は、自由党が過半数になる確率を74%とした。
ケベックでの政党支持率は、自由党40.2%、ケベック連合25.7%、保守党24.1%、新民主党5.8%、緑の党2.3%、人民党1.1%、その他0.7%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党39~46、ケベック連合18~25、保守党12~14、新民主党1~1、緑の党0~0、人民党0~0、その他0~0(定数78議席)となる。
自由党は、中西部以外の全ての地域で首位に立っている。二大州オンタリオで保守党に7.8ポイント、ケベックでケベック連合に14.5ポイントリードするほか、ブリティッシュコロンビアで3.1ポイント、東部で19.0ポイントの差をつけ、過半数はほぼ確実な情勢だ。
緑の党は、メイ党首がブリティッシュコロンビア州サーニッチ-ガルフ・アイランズ選挙区の議席を死守するほか、オンタリオ州キッチナー・センター選挙区を獲得できる見込みがある。
ポワリエーブル党首は25日、保守党の牙城であるカルガリーを訪問したが、多くの批評家は首をかしげている。カルガリーは保守党にとって何の危険もない、鉄板選挙区だからだ。保守党は2019年と2021年の総選挙において、得票率では自由党を上回ったのに、議席数では敗れた。中西部では2位以下をぶっちぎり、票を余して圧勝したが、オンタリオの接戦選挙区ではことごとく競り負けたからである。オタワ大学で政治学を教えるジュヌビエーブ・テリエ教授は、ポワリエーブル党首はもはや勝とうという意欲を失っているのではないかと示唆した。
「なぜ議席数に影響のない有権者に訴えるのか?得票率を上げようとしているのか?より多くの議席を獲得しようというなら、オンタリオに行くべきだ。」
だが自由党は、主戦場とされるトロント周辺の「905エリア」でも20ポイントの差をつけている。ポワリエーブル党首は、もう一つの主戦場であるブリティッシュコロンビアへ行く途中に立ち寄ったと弁明した。彼はもはや、投票率が記録的な高さとなり、世論調査が捕捉できなかった謎の大勢力がことごとく保守党に投票するのを期待するしかなさそうだ。
今回総選挙は、二大政党の支持率が異常に高く、中小政党の支持率が異常に低いという特徴がある。これは左派の中小政党支持者が、自由党を勝たせるため「戦略的投票」で自由党に集結している可能性がある。だがトロント大学で政治学を教えるクリストファー・コックレイン准教授は、戦略的投票には落とし穴があると指摘する。政党支持率は、全国での数字が発表されるが、真に問題なのは選挙区での支持率だ。ある選挙区で新民主党候補が有利なのに、自由党を勝たせるため自由党候補に投票したら、2位の保守党候補が当選してしまうことはありえる。
ところがモントリオール大学で政治学を教えるアンドレ・ブレ教授は、世論調査で戦略的投票を考慮している有権者は全体の5%程度にすぎず、その影響力は限定的だと指摘した。
ケベックでの政党支持率は、自由党40.2%、ケベック連合25.7%、保守党24.1%、新民主党5.8%、緑の党2.3%、人民党1.1%、その他0.7%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党39~46、ケベック連合18~25、保守党12~14、新民主党1~1、緑の党0~0、人民党0~0、その他0~0(定数78議席)となる。
自由党は、中西部以外の全ての地域で首位に立っている。二大州オンタリオで保守党に7.8ポイント、ケベックでケベック連合に14.5ポイントリードするほか、ブリティッシュコロンビアで3.1ポイント、東部で19.0ポイントの差をつけ、過半数はほぼ確実な情勢だ。
緑の党は、メイ党首がブリティッシュコロンビア州サーニッチ-ガルフ・アイランズ選挙区の議席を死守するほか、オンタリオ州キッチナー・センター選挙区を獲得できる見込みがある。
ポワリエーブル党首は25日、保守党の牙城であるカルガリーを訪問したが、多くの批評家は首をかしげている。カルガリーは保守党にとって何の危険もない、鉄板選挙区だからだ。保守党は2019年と2021年の総選挙において、得票率では自由党を上回ったのに、議席数では敗れた。中西部では2位以下をぶっちぎり、票を余して圧勝したが、オンタリオの接戦選挙区ではことごとく競り負けたからである。オタワ大学で政治学を教えるジュヌビエーブ・テリエ教授は、ポワリエーブル党首はもはや勝とうという意欲を失っているのではないかと示唆した。
「なぜ議席数に影響のない有権者に訴えるのか?得票率を上げようとしているのか?より多くの議席を獲得しようというなら、オンタリオに行くべきだ。」
だが自由党は、主戦場とされるトロント周辺の「905エリア」でも20ポイントの差をつけている。ポワリエーブル党首は、もう一つの主戦場であるブリティッシュコロンビアへ行く途中に立ち寄ったと弁明した。彼はもはや、投票率が記録的な高さとなり、世論調査が捕捉できなかった謎の大勢力がことごとく保守党に投票するのを期待するしかなさそうだ。
今回総選挙は、二大政党の支持率が異常に高く、中小政党の支持率が異常に低いという特徴がある。これは左派の中小政党支持者が、自由党を勝たせるため「戦略的投票」で自由党に集結している可能性がある。だがトロント大学で政治学を教えるクリストファー・コックレイン准教授は、戦略的投票には落とし穴があると指摘する。政党支持率は、全国での数字が発表されるが、真に問題なのは選挙区での支持率だ。ある選挙区で新民主党候補が有利なのに、自由党を勝たせるため自由党候補に投票したら、2位の保守党候補が当選してしまうことはありえる。
ところがモントリオール大学で政治学を教えるアンドレ・ブレ教授は、世論調査で戦略的投票を考慮している有権者は全体の5%程度にすぎず、その影響力は限定的だと指摘した。
2025年04月26日
党首たちの選挙区事情
総選挙はあと3日を残すのみとなり、最後の週末に入る。野党党首たちは、党の成績だけでなく、自身の当落についても心配しなければならない。
保守党内部の世論調査によると、カールトン選挙区におけるピエール・ポワリエーブル党首の支持率は49%で、自由党のブルース・ファンジョイ候補は48%だという。
マージョリー・ルブレトン元上院院内総務は2022年、ポワリエーブル氏によるフリーダム・コンボイ支持に抗議して保守党カールトン支部を辞任している。彼はポワリエーブル党首に警告した。
「もしピエールが、エリン・オトゥールやアンドリュー・シーアの下で我々が味わったような同じ結果をもたらすのなら、そして彼が落選するようなことになれば、全ての地獄の釜が開くことになる。党は四分五裂するだろう。」
2024年9月に新民主党が政権離脱し、自由党政権が過半数割れに陥ったとき、保守党はいつでも解散・総選挙に追い込めそうだった。だが実際には解散に追い込むことはできず、内閣不信任動議を毎週のように提出し、それらは何の意味も効果もなかった。執行部は高支持率の上に胡坐をかき、トルドー辞任に真の意味で備えがなかった。自由党は党首交代で執行部を刷新し、さらにトランプの脅威が重なったことでゲームの内容そのものが変わってしまった。
新民主党のシン党首もまた、選挙区で苦戦している。区割り変更により、今回はバーナビー・セントラル選挙区から出馬するが、支持率はウェイド・チャン候補(自由党)47%、ジェームズ・ヤン候補(保守党)27%に対し、シン党首は25%である。新民主党は、自由党の少数政権につけ込み、ファーマケアとデンタルケアを成立させたが、その果実を全部自由党に奪われ、自党への票に結びつけられていない。今回は結党以来最悪の数議席に終わると予想され、シン党首は留任できないだろう。
ケベック連合のイブ=フランソワ・ブランシェ党首は、ブレーユ-シャンブリ選挙区での支持率は45%で、ニコラ・マルワン候補(自由党)の33%、シルバン・グレ候補(保守党)の16%より優位に立っている。ネピアン選挙区におけるマーク・カーニー首相の支持率は48%で、バーバラ・バル候補(保守党)の40%を凌いでいる。
保守党内部の世論調査によると、カールトン選挙区におけるピエール・ポワリエーブル党首の支持率は49%で、自由党のブルース・ファンジョイ候補は48%だという。
マージョリー・ルブレトン元上院院内総務は2022年、ポワリエーブル氏によるフリーダム・コンボイ支持に抗議して保守党カールトン支部を辞任している。彼はポワリエーブル党首に警告した。
「もしピエールが、エリン・オトゥールやアンドリュー・シーアの下で我々が味わったような同じ結果をもたらすのなら、そして彼が落選するようなことになれば、全ての地獄の釜が開くことになる。党は四分五裂するだろう。」
2024年9月に新民主党が政権離脱し、自由党政権が過半数割れに陥ったとき、保守党はいつでも解散・総選挙に追い込めそうだった。だが実際には解散に追い込むことはできず、内閣不信任動議を毎週のように提出し、それらは何の意味も効果もなかった。執行部は高支持率の上に胡坐をかき、トルドー辞任に真の意味で備えがなかった。自由党は党首交代で執行部を刷新し、さらにトランプの脅威が重なったことでゲームの内容そのものが変わってしまった。
新民主党のシン党首もまた、選挙区で苦戦している。区割り変更により、今回はバーナビー・セントラル選挙区から出馬するが、支持率はウェイド・チャン候補(自由党)47%、ジェームズ・ヤン候補(保守党)27%に対し、シン党首は25%である。新民主党は、自由党の少数政権につけ込み、ファーマケアとデンタルケアを成立させたが、その果実を全部自由党に奪われ、自党への票に結びつけられていない。今回は結党以来最悪の数議席に終わると予想され、シン党首は留任できないだろう。
ケベック連合のイブ=フランソワ・ブランシェ党首は、ブレーユ-シャンブリ選挙区での支持率は45%で、ニコラ・マルワン候補(自由党)の33%、シルバン・グレ候補(保守党)の16%より優位に立っている。ネピアン選挙区におけるマーク・カーニー首相の支持率は48%で、バーバラ・バル候補(保守党)の40%を凌いでいる。
2025年04月25日
新民主党、西部の激戦区で最後のテコ入れ
崖っぷちに立たされた新民主党のシン党首は4月21日、バンクーバーの集会でこう叫んだ。
「ブリティッシュコロンビア州民はこの選挙で、次に何が起きるかを決めることになる。マーク・カーニーがスーパーマジョリティを獲得するのか、それとも十分な数の新民主党員が現状維持のため議会に残るのか。」
2021年総選挙で25議席を獲得した新民主党は、その半分の13議席をブリティッシュコロンビアで獲得したが、今回は自由党に7議席を、保守党に5議席を奪われようとしている。
予想では、新民主党は全国で数議席の大敗を喫し、シン党首自身もブリティッシュコロンビア州バーナビー・セントラル選挙区で落選するものと見られている。そうなれば辞任するかと問われると、こう答えた。
「選挙後のことは考えていない。目の前の選挙に集中している。」
「何百万もの国民、高齢者や子供たちを助けたデンタルケアの成立は、我が人生における名誉である。」
バンクーバー島には7つの選挙区があり、前回総選挙では新民主党が6議席を獲得した。だが今回当選できそうな選挙区は、1つしかない。
2006年に自由党候補がビクトリア選挙区で落選して以来、自由党はバンクーバー島から締め出されている。この選挙区はそれ以降新民主党の鉄板選挙区になったが、自由党は今回ここを奪えると見ている。
引退したリビー・デービス元議員は、カナダで最も貧しいバンクーバー・イースト選挙区を18年間守り続けた。彼女はバンクーバーの集会で、結党以来最低の結果(9議席)に終わった1993年総選挙を思い出させようとした。財政赤字を克服するため、クレチエン首相は公共サービスの切り捨てに走った。だが新民主党には、反撃するだけの力がなかった。
「本当にひどいことが起きた(Real shit went down)。我々はそこにいたが、我々には公式政党ステータスがなかった。」
エドモントン・センター選挙区も、アルバータ州では珍しく、新民主党・保守党・自由党の3党による激戦区である。シン党首は22日、ここに入った。レイチェル・ノトリー元州首相は、こう演説した。
「スローガンとスタントを無駄に連発する30人の保守党議員より、わずか2人のアルバータの新民主党議員が成果を挙げた。」
シン党首は23日、マニトバ州エルムウッド-トランスコーナ選挙区に入る。ここは新民主党が10年守った鉄板選挙区だったが、2024年補選では保守党候補に1182票の僅差で辛勝している。
「ブリティッシュコロンビア州民はこの選挙で、次に何が起きるかを決めることになる。マーク・カーニーがスーパーマジョリティを獲得するのか、それとも十分な数の新民主党員が現状維持のため議会に残るのか。」
2021年総選挙で25議席を獲得した新民主党は、その半分の13議席をブリティッシュコロンビアで獲得したが、今回は自由党に7議席を、保守党に5議席を奪われようとしている。
予想では、新民主党は全国で数議席の大敗を喫し、シン党首自身もブリティッシュコロンビア州バーナビー・セントラル選挙区で落選するものと見られている。そうなれば辞任するかと問われると、こう答えた。
「選挙後のことは考えていない。目の前の選挙に集中している。」
「何百万もの国民、高齢者や子供たちを助けたデンタルケアの成立は、我が人生における名誉である。」
バンクーバー島には7つの選挙区があり、前回総選挙では新民主党が6議席を獲得した。だが今回当選できそうな選挙区は、1つしかない。
2006年に自由党候補がビクトリア選挙区で落選して以来、自由党はバンクーバー島から締め出されている。この選挙区はそれ以降新民主党の鉄板選挙区になったが、自由党は今回ここを奪えると見ている。
引退したリビー・デービス元議員は、カナダで最も貧しいバンクーバー・イースト選挙区を18年間守り続けた。彼女はバンクーバーの集会で、結党以来最低の結果(9議席)に終わった1993年総選挙を思い出させようとした。財政赤字を克服するため、クレチエン首相は公共サービスの切り捨てに走った。だが新民主党には、反撃するだけの力がなかった。
「本当にひどいことが起きた(Real shit went down)。我々はそこにいたが、我々には公式政党ステータスがなかった。」
エドモントン・センター選挙区も、アルバータ州では珍しく、新民主党・保守党・自由党の3党による激戦区である。シン党首は22日、ここに入った。レイチェル・ノトリー元州首相は、こう演説した。
「スローガンとスタントを無駄に連発する30人の保守党議員より、わずか2人のアルバータの新民主党議員が成果を挙げた。」
シン党首は23日、マニトバ州エルムウッド-トランスコーナ選挙区に入る。ここは新民主党が10年守った鉄板選挙区だったが、2024年補選では保守党候補に1182票の僅差で辛勝している。
2025年04月24日
重要なのは物価、それでも保守党は苦戦
4月18日から21日にアバカス・データ社が2000人の成人カナダ人を対象に実施したオンライン政党支持率調査は、自由党40%、保守党37%、新民主党11%、ケベック連合7%、緑の党2%、人民党2%、その他0%という結果となった。
ケベックでの政党支持率は、自由党33%、ケベック連合30%、保守党26%、新民主党9%、緑の党2%、人民党1%という結果となった。
自由党は保守党に差を詰められてはいるものの、中西部以外の全ての地域で優勢を保っている。
政権交代への欲求に関する設問では、「政権交代は絶対に必要」は55%、「政権交代はあってもいいが絶対ではない」は15%、「自由党政権継続でもいい」は7%、「自由党政権でなければならない」は23%となった。政権交代を強く望む人は55%、容認する人は70%と非常に高いが、2021年連邦議会総選挙や2024年ノバスコシア州議会総選挙でも、政権交代への欲求は強かったのに実現しなかった例がある。
総選挙の最重要事項を問う設問では、物価対策が49%、トランプ対策が32%、住宅危機対策が21%、経済成長が20%、健康保険が17%などとなった。回答者に重要事項を二者択一させる設問で、トランプ対策と変革では、トランプ対策44%・変革56%だった。トランプ対策と物価対策では、トランプ対策36%・物価対策64%だった。トランプ大統領が関税付加を3か月猶予すると発言したことで、トランプ対策は有権者の最重要事項ではなくなったようだ。
カーニー首相に好意的な人は46%、否定的な人は33%だった。ポワリエーブル党首に好意的な人は39%、否定的な人は46%だった。ポワリエーブル党首は1月の調査から否定的な意見が上回るようになり、その数字は上がり続けている。
これらのデータを見ると、ポワリエーブル党首がトランプ対策ではなく、政権交代と物価対策を訴えているのは正しいようにも思える。だがこれらのデータにもかかわらず、実際には自由党の支持率が高いのは、ポワリエーブル党首のパーソナリティが嫌われているからとしか考えられない。政治歴のほとんどないカーニー首相には、嫌われる理由はなさそうだ。保守党が総選挙最後の週にリリースした動画では、二人のシニアが政治を語り、ハーパー元首相が保守党への投票を呼びかけたが、ポワリエーブル党首は登場しなかった。
ケベックでの政党支持率は、自由党33%、ケベック連合30%、保守党26%、新民主党9%、緑の党2%、人民党1%という結果となった。
自由党は保守党に差を詰められてはいるものの、中西部以外の全ての地域で優勢を保っている。
政権交代への欲求に関する設問では、「政権交代は絶対に必要」は55%、「政権交代はあってもいいが絶対ではない」は15%、「自由党政権継続でもいい」は7%、「自由党政権でなければならない」は23%となった。政権交代を強く望む人は55%、容認する人は70%と非常に高いが、2021年連邦議会総選挙や2024年ノバスコシア州議会総選挙でも、政権交代への欲求は強かったのに実現しなかった例がある。
総選挙の最重要事項を問う設問では、物価対策が49%、トランプ対策が32%、住宅危機対策が21%、経済成長が20%、健康保険が17%などとなった。回答者に重要事項を二者択一させる設問で、トランプ対策と変革では、トランプ対策44%・変革56%だった。トランプ対策と物価対策では、トランプ対策36%・物価対策64%だった。トランプ大統領が関税付加を3か月猶予すると発言したことで、トランプ対策は有権者の最重要事項ではなくなったようだ。
カーニー首相に好意的な人は46%、否定的な人は33%だった。ポワリエーブル党首に好意的な人は39%、否定的な人は46%だった。ポワリエーブル党首は1月の調査から否定的な意見が上回るようになり、その数字は上がり続けている。
これらのデータを見ると、ポワリエーブル党首がトランプ対策ではなく、政権交代と物価対策を訴えているのは正しいようにも思える。だがこれらのデータにもかかわらず、実際には自由党の支持率が高いのは、ポワリエーブル党首のパーソナリティが嫌われているからとしか考えられない。政治歴のほとんどないカーニー首相には、嫌われる理由はなさそうだ。保守党が総選挙最後の週にリリースした動画では、二人のシニアが政治を語り、ハーパー元首相が保守党への投票を呼びかけたが、ポワリエーブル党首は登場しなかった。
トランプの脅威と、高まるカナダの愛国心
トランプ大統領が「カナダをアメリカの51番目の州にする」と語ったとき、トルドー首相はこれを一蹴した。
「カナダがアメリカの一部になる可能性は、絶望的に(not a snowball's chance in hell)ない。」
「我々が我々自身を定義する最も簡単な方法の一つは『我々はアメリカ人ではない』ということである。」
エンバイロニクス社による世論調査は、2024年秋のカナダにおけるトランプ候補支持が21%だったのに対し、カマラ・ハリス候補の支持が60%だったことを示した。
もしカナダがアメリカの51番目の州(ステート)だったら──現実にはカナダは10州(プロビンス)・3準州で、アメリカそれ自体より大きいのだが──ハリス候補が32ポイント勝ったバーモント州を凌ぐブルーステートになるだろう。カナダの人口4010万人はカリフォルニア州をわずかに上回り、大統領選挙人の数は55人くらいになる。共和党は大統領選に勝てなくなるだろう。
カナダ保守党の根拠地は中西部だが、人口は多くない。カナダ自由党は中部を根拠地にしており、中部2州だけで人口の60%に達するため、選挙は自由党が有利になりやすい。特にケベックはカナダで最も革新的な地域であり、大正期にケベックで起きた徴兵反対デモを保守党政権が武力鎮圧して以来、親英派の保守党はケベックでの議席獲得が困難になった。20世紀100年間のうち自由党政権は69年にも及び、カナダはG7で最もリベラルな国である。
エンバイロニクス社は2022年にも、カナダ人とアメリカ人を対象に政治と社会に関する世論調査を実施している。
政府は富豪と貧者の所得格差を減らすよう努めるべきだという考えに同意したのは、カナダ人の77%に対し、アメリカ人は58%だった。
女性は妊娠中絶を望むならその権利があるべきだという考えに同意したのは、カナダ人の82%に対し、アメリカ人は62%だった。
民間人による拳銃所持を違法とすることに同意したのは、カナダ人の61%に対し、アメリカ人は29%だった。
カナダのアメリカ合衆国編入について、カナダ人の83%が強く反対、7%がやや反対だった。アンガス・リード研究所による1月の世論調査では、賛成はカナダ人の10%だった。
アメリカを好ましく思うカナダ人は、1983年には83%だったが、2024年では47%だった。カナダ人の多くは両国を比較して、健康保険、生活の質、教育、社会保険、政府、人権、人種と性の平等についてはカナダの方が優れていると考えていることがわかった。生産性とテクノロジーについては、アメリカの方が優れていると回答した。
エンバイロニクス社の調査は、愛国心が自由党支持者では変わらないのに、保守党支持者では低下していることを示した。同社のアンドリュー・パーキン氏は、愛国心の低下はカナダの景気後退に関係するのではないかと推測した。トルドー首相はカナダを改善するため、カナダの欠点を強調しすぎたきらいがあり、もっとカナダの長所を宣伝すべきだったというのである。
ジャン・クレチエン元首相は1月11日、91歳の誕生日にグローブ&メイル紙に寄稿した。
「ドナルド・トランプへ、一人の老人からもう一人の老人へ。頭を振って考えろ!」
「カナダ人が、世界最高の国カナダ──間違うな、それは現実だ──をあきらめ、アメリカに参入すると考える理由は何か?」
彼はそれから、トランプの脅威を奇貨として、州間貿易障壁撤廃、東西電力網の拡充、北極におけるカナダ軍増強を提案した。
ロバート・フルフォードは1974年、ニューヨーク・タイムズ紙に「カナダは脱却を志向する」という論説を寄稿した。彼はそこで「アメリカの支配に対する抵抗は、カナダのアイデンティティにおける重要な要素になった」と結論づけた。カナダが120年続いた保護貿易政策を放棄し、アメリカとの自由貿易に転換する前のことである。だがトランプ大統領は、30年以上続いた自由貿易体制を破壊しようとしている。
そもそもアメリカは、イギリスの支配から武力で脱却したのが始まりだ。アメリカは最初は小さい国で、イギリスによる反撃を恐れていたし、北米のイギリス植民地もアメリカによる侵攻を恐れていた。ナポレオンがヨーロッパで暴れ回っているすきにアメリカがカナダに侵攻したのが1812年戦争で、ホワイトハウスを焼き払ったカナダが勝ったとカナダ人の多くは(アメリカ人がどう思うかに関係なく)信じている。アメリカの脅威に対抗するため、北米のイギリス植民地は合同すべきだという考えから、カナダ連邦は始まった。つまりはアメリカの発祥もカナダの発祥も、原因は互いの脅威にほかならない。
19世紀中頃にドイツが勃興すると、イギリスはドイツを警戒し、対米融和に転じる。トランプ大統領による脅しは、米加関係を一気に170年引き戻すことになるのだろうか。
「カナダがアメリカの一部になる可能性は、絶望的に(not a snowball's chance in hell)ない。」
「我々が我々自身を定義する最も簡単な方法の一つは『我々はアメリカ人ではない』ということである。」
エンバイロニクス社による世論調査は、2024年秋のカナダにおけるトランプ候補支持が21%だったのに対し、カマラ・ハリス候補の支持が60%だったことを示した。
もしカナダがアメリカの51番目の州(ステート)だったら──現実にはカナダは10州(プロビンス)・3準州で、アメリカそれ自体より大きいのだが──ハリス候補が32ポイント勝ったバーモント州を凌ぐブルーステートになるだろう。カナダの人口4010万人はカリフォルニア州をわずかに上回り、大統領選挙人の数は55人くらいになる。共和党は大統領選に勝てなくなるだろう。
カナダ保守党の根拠地は中西部だが、人口は多くない。カナダ自由党は中部を根拠地にしており、中部2州だけで人口の60%に達するため、選挙は自由党が有利になりやすい。特にケベックはカナダで最も革新的な地域であり、大正期にケベックで起きた徴兵反対デモを保守党政権が武力鎮圧して以来、親英派の保守党はケベックでの議席獲得が困難になった。20世紀100年間のうち自由党政権は69年にも及び、カナダはG7で最もリベラルな国である。
エンバイロニクス社は2022年にも、カナダ人とアメリカ人を対象に政治と社会に関する世論調査を実施している。
政府は富豪と貧者の所得格差を減らすよう努めるべきだという考えに同意したのは、カナダ人の77%に対し、アメリカ人は58%だった。
女性は妊娠中絶を望むならその権利があるべきだという考えに同意したのは、カナダ人の82%に対し、アメリカ人は62%だった。
民間人による拳銃所持を違法とすることに同意したのは、カナダ人の61%に対し、アメリカ人は29%だった。
カナダのアメリカ合衆国編入について、カナダ人の83%が強く反対、7%がやや反対だった。アンガス・リード研究所による1月の世論調査では、賛成はカナダ人の10%だった。
アメリカを好ましく思うカナダ人は、1983年には83%だったが、2024年では47%だった。カナダ人の多くは両国を比較して、健康保険、生活の質、教育、社会保険、政府、人権、人種と性の平等についてはカナダの方が優れていると考えていることがわかった。生産性とテクノロジーについては、アメリカの方が優れていると回答した。
エンバイロニクス社の調査は、愛国心が自由党支持者では変わらないのに、保守党支持者では低下していることを示した。同社のアンドリュー・パーキン氏は、愛国心の低下はカナダの景気後退に関係するのではないかと推測した。トルドー首相はカナダを改善するため、カナダの欠点を強調しすぎたきらいがあり、もっとカナダの長所を宣伝すべきだったというのである。
ジャン・クレチエン元首相は1月11日、91歳の誕生日にグローブ&メイル紙に寄稿した。
「ドナルド・トランプへ、一人の老人からもう一人の老人へ。頭を振って考えろ!」
「カナダ人が、世界最高の国カナダ──間違うな、それは現実だ──をあきらめ、アメリカに参入すると考える理由は何か?」
彼はそれから、トランプの脅威を奇貨として、州間貿易障壁撤廃、東西電力網の拡充、北極におけるカナダ軍増強を提案した。
ロバート・フルフォードは1974年、ニューヨーク・タイムズ紙に「カナダは脱却を志向する」という論説を寄稿した。彼はそこで「アメリカの支配に対する抵抗は、カナダのアイデンティティにおける重要な要素になった」と結論づけた。カナダが120年続いた保護貿易政策を放棄し、アメリカとの自由貿易に転換する前のことである。だがトランプ大統領は、30年以上続いた自由貿易体制を破壊しようとしている。
そもそもアメリカは、イギリスの支配から武力で脱却したのが始まりだ。アメリカは最初は小さい国で、イギリスによる反撃を恐れていたし、北米のイギリス植民地もアメリカによる侵攻を恐れていた。ナポレオンがヨーロッパで暴れ回っているすきにアメリカがカナダに侵攻したのが1812年戦争で、ホワイトハウスを焼き払ったカナダが勝ったとカナダ人の多くは(アメリカ人がどう思うかに関係なく)信じている。アメリカの脅威に対抗するため、北米のイギリス植民地は合同すべきだという考えから、カナダ連邦は始まった。つまりはアメリカの発祥もカナダの発祥も、原因は互いの脅威にほかならない。
19世紀中頃にドイツが勃興すると、イギリスはドイツを警戒し、対米融和に転じる。トランプ大統領による脅しは、米加関係を一気に170年引き戻すことになるのだろうか。
2025年04月23日
保守党追い上げるも、自由党過半数の見込み
ユーガブ社が4月22日、6077人の成人カナダ人を対象に実施した政党支持率調査は、自由党42%、保守党38%、新民主党10%、ケベック連合6%、緑の党2%、人民党2%、その他1%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党182(163~201)、保守党133(115~153)、ケベック連合23(15~28)、新民主党4(1~7)、緑の党1(0~2)、人民党0(0~0)、その他0(0~0)(定数343議席、括弧内は最小~最大)となる。同社は自由党が過半数になる確率を88%、どの党も過半数にならない確率を11%とした。自由党は一時は200議席を超える圧勝を収めようとしていたが、2位との差は縮まり、過半数をわずかに超えることになりそうだ。
二大政党の支持率は、多党制のカナダでは通常ありえないほど高く、中小諸党はその支持を奪われている。新民主党は保有する議席の、13を自由党に、7つを保守党に奪われる。ケベック連合は保有する議席の、11を自由党に、1つを保守党に奪われる。
毎年激戦になるトロント周辺では、保守党はオーロラ-オークリッジ-リッチモンドヒル選挙区とニューマーケット-オーロラ選挙区を自由党から奪うが、ベイ・オブ・クイント選挙区、ナイアガラ・フォールズ-ナイアガラ=オン=ザ=レイク選挙区、ナイアガラ・サウス選挙区を自由党に奪われる。
激戦地はもう一つあって、ブリティッシュコロンビア州のローワーメインランドは、自由党と保守党と新民主党が、バンクーバー島ではこれらに加え緑の党が接戦を繰り広げている。新民主党は前回総選挙でブリティッシュコロンビアの13議席を獲得したが、今回は自由党に7つを、保守党に5つを奪われ、バーナビー・セントラル選挙区でシン党首が落選する惨敗を喫する。緑の党は、メイ党首がサーニッチ-ガルフ・アイランズ選挙区に保有する議席を死守するほかは、全敗する。
二大政党の支持率は、多党制のカナダでは通常ありえないほど高く、中小諸党はその支持を奪われている。新民主党は保有する議席の、13を自由党に、7つを保守党に奪われる。ケベック連合は保有する議席の、11を自由党に、1つを保守党に奪われる。
毎年激戦になるトロント周辺では、保守党はオーロラ-オークリッジ-リッチモンドヒル選挙区とニューマーケット-オーロラ選挙区を自由党から奪うが、ベイ・オブ・クイント選挙区、ナイアガラ・フォールズ-ナイアガラ=オン=ザ=レイク選挙区、ナイアガラ・サウス選挙区を自由党に奪われる。
激戦地はもう一つあって、ブリティッシュコロンビア州のローワーメインランドは、自由党と保守党と新民主党が、バンクーバー島ではこれらに加え緑の党が接戦を繰り広げている。新民主党は前回総選挙でブリティッシュコロンビアの13議席を獲得したが、今回は自由党に7つを、保守党に5つを奪われ、バーナビー・セントラル選挙区でシン党首が落選する惨敗を喫する。緑の党は、メイ党首がサーニッチ-ガルフ・アイランズ選挙区に保有する議席を死守するほかは、全敗する。
自由党、905エリアでも優勢
アンガス・リード社が4月17日から21日にかけて、2459人の成人カナダ人を対象に実施したオンライン政党支持率調査は、自由党44%、保守党39%、新民主党7%、ケベック連合7%、緑の党2%、その他1%という結果となった。
ケベックでは、自由党34%、ケベック連合32%、保守党26%、新民主党6%、緑の党2%、その他1%という結果となった。
カナダ三大都市では、モントリオールで自由党47%、ケベック連合24%、保守党16%、新民主党9%、緑の党3%。メトロバンクーバーでは自由党49%、保守党27%、新民主党21%、緑の党2%。トロントでは自由党62%、保守党28%、新民主党8%、緑の党1%と、自由党が圧倒的に優勢になっている。主戦場とされるトロント周辺の905エリアは、自由党56%、保守党38%、新民主党5%、緑の党1%と、ここでも自由党は優勢で、新民主党は全く勢いがない。
オンタリオにおける獲得議席は、自由党80以上、保守党40弱、新民主党は最大で3(定数122議席)と予想され、オンタリオを制する者が総選挙を制することを考えると、自由党が200議席近い圧勝を収めるのはほぼ確実な情勢となっている。
ケベックでは、自由党34%、ケベック連合32%、保守党26%、新民主党6%、緑の党2%、その他1%という結果となった。
カナダ三大都市では、モントリオールで自由党47%、ケベック連合24%、保守党16%、新民主党9%、緑の党3%。メトロバンクーバーでは自由党49%、保守党27%、新民主党21%、緑の党2%。トロントでは自由党62%、保守党28%、新民主党8%、緑の党1%と、自由党が圧倒的に優勢になっている。主戦場とされるトロント周辺の905エリアは、自由党56%、保守党38%、新民主党5%、緑の党1%と、ここでも自由党は優勢で、新民主党は全く勢いがない。
オンタリオにおける獲得議席は、自由党80以上、保守党40弱、新民主党は最大で3(定数122議席)と予想され、オンタリオを制する者が総選挙を制することを考えると、自由党が200議席近い圧勝を収めるのはほぼ確実な情勢となっている。