●当ブログが選ぶ2022年カナダの十大ニュース
1.フリーダム・コンボイに緊急事態法
2.保守党がオトゥール党首不信任、ポワリエーブル新党首に
3.エリザベス二世崩御、チャールズ三世即位
4.アメリカで中絶合法の判決覆る
5.フィオナ東部襲来
6.ジェームズ・スミスで12人殺害
7.ホッケーカナダで性的暴行、不透明な示談金支払い
8.ローマ教皇訪問、寄宿学校を謝罪
9.アルバータ州首相にスミス、アルバータ主権法成立
10.トルドー首相国葬キャンセル、G7首脳ゼロに
●トロントニシティが選ぶ2022年カナダ十大ニュース
https://torontonicity.com/2022/12/28/top-10-news-stories-in-canada-in-2022/
1.フリーダム・コンボイ
2.カナダ銀行利上げ
3.エリザベス女王崩御
4.オミクロン株流行
5.フォード首相、教育労働者のストを禁止する法律制定
6.風邪とインフルエンザの薬不足
7.ロジャース通信障害
8.ポワリエーブル保守党党首に
9.教皇フランシスコ、寄宿学校について謝罪のためカナダ訪問
10.ジェームズ・スミスで大量殺人
●CBCキッズニュースによる2022年22大ニュース
https://www.cbc.ca/kidsnews/post/the-top-22-news-moments-from-2022
1.フリーダム・コンボイ
2.ワードル人気
3.北京五輪と外交的ボイコット
4.ウクライナ戦争
5.ウィル・スミス、アカデミー賞会場でクリス・ロックに平手打ち
6.新型コロナパンデミック続行
7.諸物価高騰
8.教皇謝罪
9.イーロン・マスク、ツイッター買収
10.ユバルデで銃乱射
11.ロウ対ウェード判決覆る
12.ユーチューバー「テクノブレイド」死去
13.TikTokミーム
14.ハリー・スタイルズとテイラー・スウィフト、新記録
15.エリザベス女王崩御
16.イランでの抗議
17.ハリケーン・フィオナ
18.宇宙での発見
19.環境活動家、美術品に食物
20.世界人口80億に
21.カニエ・ウェストがツイッター凍結
22.アルゼンチン、ワールド・カップ優勝
2022年12月31日
2022年12月21日
2022年今年話題の人物に「フリーダム・コンボイ」
カナディアン・プレスは12月20日、2022年「今年話題の人物」に「フリーダム・コンボイ」を選出した。複数が選出されるのは、2006年の「カナダ軍」、2007年の「RCMP(カナダ連邦警察)」、2018年の「フンボルト・ブロンコス」、2020年の「前線で働く人々」、2021年の「寄宿学校から帰らなかった子供たち」に続き6度目となる。
フリーダム・コンボイへの投票は49%だった。2位はエリザベス二世の28%だった。
フリーダム・コンボイへの投票は49%だった。2位はエリザベス二世の28%だった。
2022年12月12日
アルバータ主権法が可決
アルバータ州議会(連合保守党60、新民主党23、無所属2、欠員2)は12月8日、アルバータ主権法案を可決した。
第一読会から第三読会まで、野党新民主党はその全部に反対票を投じた。第一読会での反対投票は、非常に珍しいことである。与党連合保守党は、全ての読会で審議を打ち切る動議を可決させたため、法案は1週間でスピード可決された。新民主党は第三読会で議事妨害を行ったが、無駄だった。なお多くの批判を呼んだ、内閣が州議会の同意なしに法改正できるとした条項(いわゆる「ヘンリー八世条項」)は、政府の修正案で削除された。
スミス首相は第三読会で、トルドー政府との関係をリセットするときだと演説した。
「これは、オタワが中央政府であることとは異なる。」
「我々の国が機能する方法は、我々が主権を持ち独立した管区の連邦だということである。それらは憲法の署名者の一つであり、憲法の署名者である我々の残りは、管轄の我々自身の領域で我々の主権を働かせる権利がある。」
アルバータ主権法の起草者とされる、カルガリー大学で政治学を教えるバリー・クーパー教授はこう評した。
「この法律は基本的に、残りのカナダに我々はもう利用されるつもりがないという政治的アナウンスである。」
新民主党のレイチェル・ノトリー党首は、何が合憲であり何が合憲でないか、それを裁判所ではなく議会が決めるようになるなら、法案には途方もない欠陥が残り、また連邦法に抵抗するよう地方自治体・保健所・学校・市警に指示する内閣に、幅広い未定義の力を与えると懸念した。
「ダニエル・スミスを支持する多くの人々とバリー・クーパーは、アルバータの過激な極論者のために話す。」
また彼女は、スミス首相が法案提出前に先住民に意見を聴取することに失敗したと指摘した。
連邦のトルドー首相は、アルバータ主権法はスミス首相が連邦政府に戦いを仕掛ける政治的ツールにすぎないと語った。
「私は、アルバータ州政府と戦うことに興味がない。」
彼は、オタワと州の関係は親と子の関係とは違い、各々が異なる管轄と責任を持つから、州政府は連邦政府が同意しない法律を進めることはできるが、最終的な解決は裁判所にあると指摘した。
第一読会から第三読会まで、野党新民主党はその全部に反対票を投じた。第一読会での反対投票は、非常に珍しいことである。与党連合保守党は、全ての読会で審議を打ち切る動議を可決させたため、法案は1週間でスピード可決された。新民主党は第三読会で議事妨害を行ったが、無駄だった。なお多くの批判を呼んだ、内閣が州議会の同意なしに法改正できるとした条項(いわゆる「ヘンリー八世条項」)は、政府の修正案で削除された。
スミス首相は第三読会で、トルドー政府との関係をリセットするときだと演説した。
「これは、オタワが中央政府であることとは異なる。」
「我々の国が機能する方法は、我々が主権を持ち独立した管区の連邦だということである。それらは憲法の署名者の一つであり、憲法の署名者である我々の残りは、管轄の我々自身の領域で我々の主権を働かせる権利がある。」
アルバータ主権法の起草者とされる、カルガリー大学で政治学を教えるバリー・クーパー教授はこう評した。
「この法律は基本的に、残りのカナダに我々はもう利用されるつもりがないという政治的アナウンスである。」
新民主党のレイチェル・ノトリー党首は、何が合憲であり何が合憲でないか、それを裁判所ではなく議会が決めるようになるなら、法案には途方もない欠陥が残り、また連邦法に抵抗するよう地方自治体・保健所・学校・市警に指示する内閣に、幅広い未定義の力を与えると懸念した。
「ダニエル・スミスを支持する多くの人々とバリー・クーパーは、アルバータの過激な極論者のために話す。」
また彼女は、スミス首相が法案提出前に先住民に意見を聴取することに失敗したと指摘した。
連邦のトルドー首相は、アルバータ主権法はスミス首相が連邦政府に戦いを仕掛ける政治的ツールにすぎないと語った。
「私は、アルバータ州政府と戦うことに興味がない。」
彼は、オタワと州の関係は親と子の関係とは違い、各々が異なる管轄と責任を持つから、州政府は連邦政府が同意しない法律を進めることはできるが、最終的な解決は裁判所にあると指摘した。
2022年12月04日
アルバータ主権法案を提出
アルバータ州のダニエル・スミス首相は11月29日、公約していたアルバータ主権法案をついに州議会に提出した。
「我々は過去に異なるものを試したが、機能しなかった。」
「それで我々は、新しい何かを試すことにした。」
だがその「新しい何か」とは、議会の同意なしに政府が法律を改正できる、いわゆる「ヘンリー八世条項」だった。
(1) 法学者の反応
法案は「既存のあるいは予想される連邦の法または政策が、憲法に反しているかまたはアルバータ州・アルバータ州民・アルバータ経済に有害である場合」に、それを阻止するため「地方自治体、教育委員会、高等学校、地方警察、地域の保健当局、および州政府から資金提供されているあらゆる団体に、州の資金を強制執行に使わせないよう内閣が指示できる」と規程している。ただし法案は、カナダ憲法を無視するのを認めていない。さらに法案は、州議会を経ずに州法を改正できる権限を内閣に与えている。
このような内容は、州政府が一方的に連邦権限を否定するものであり、また三権分立の原則を覆すものとして、法学者から強い批判を受けている。
アルバータ大学のエリック・アダムス教授は、次のように述べた。
「州議会が、州の組織に連邦法を遵守しないよう命じる憲法上の権限が存在するかどうかを諮問した例は、これまでにない。」
「連邦法への拒否あるいは不服従を命令する権限が州にあると、憲法が規定している場合にのみ、そうすることができる。」
「『有害な法律』の定義は、広範囲かつ拡張性がある。そう、有害さの基準は、見る人の目にある。そして党派的な世界では、あなたが政治的見解に反すると考えるものは、何でも有害となる。」
そして「ヘンリー八世条項」については、「これは異常事態だ。前代未聞だ」と一蹴した。
トロント大学のデビッド・シュナイダーマン教授も、懸念を表明した。
「連邦法を修正することは彼らの権限の範囲内でないと、私には確信を持って思える。それがアルバータ州法なら、彼らはアルバータ州議会を迂回している。」
彼はまた法案が、アルバータ州議会を連邦法の合憲性を審査する裁判官にすることを懸念すると述べた。
「州は連邦政府と合法的な憲法上の紛争を抱えることがありえるが、それは公平な第三者である裁判所に行く。」
オタワ大学のカリシマ・マセン教授も、同意する。
「州が連邦法の効力を無効にする根拠は、憲法上明らかに存在しない。」
カルガリー大学のイアン・ホロウェイ学部長は、一連の動きを「策略」と評した。
「これは、専門家としての私の生涯で初めて見る、明らかな反憲法的策略だ。スミス首相は、政治的なチキンゲームをしている。」
ジャック・メージャー元最高裁判事は、法案に一定の理解を示した。
「連邦政府が州に意見を聞くことなく、州の反対する何かを導入するなら、州はそれを実行しないとする見解を、アルバータはこの法案で切り開くつもりなのだろう。」
「たとえば連邦政府が炭素税のような何かを強要し、アルバータがこれに反対した場合、裁判所に訴えるかどうかは州しだいである」。
ブリティッシュコロンビア大学のジェフリー・シガレット准教授は、法案は、有効なはずの法律を無効にするものと予想していた。
「もしそうなら、それは憲法上非常に疑わしいだろう。」
「この法案を読むかぎり、そうではない。それは、連邦法を無効にするものではない。」
「司法判断に従わせないために、州の職員の誰一人にも公的な権限を与えていない。そのかわり、憲法に反すると州が見なす特定の連邦法について、連邦政府に協力しないことを州に可能にする。それは全く合憲である。」
「アルバータ州は、彼らが最終的な仲裁者であるとは言っていない。彼らは、法廷は法案より上に何も持っていないとは言っていない。彼らは、裁判官の言うことをきけないとは言っていない。」
「それは、連邦政府には管轄があり、そして我々にも我々の管轄があると言っている。」
(2) トルドー首相の反応
連邦のトルドー首相は翌30日、法案についてはコメントせず「政府はどう対処するか決める前に、これがどう収束するかを注視していく」と語った。
ナビゲーター・リミテッド社が10月上旬に実施した政党支持率調査は、連合保守党38%に対し新民主党53%と、与党に分が悪いが、総選挙は2023年5月までに実施しなければならない。スミス首相は、あえて成立の見込みのない法案を提出し、州民のために戦っているポーズを取ることで、総選挙を乗り切ろうとしているという見方も強い。スミス首相の売った喧嘩を買うことは、彼女の思う壺になりかねない。トルドー首相は、法案はどうせ成立しないと見切って、あえて対処せず、検討すらしないと考えているように見える。
(3) 「連合カナダにおいて」
さて予告されていたアルバータ主権法だが、提出された法案の正式名称は「連合カナダにおけるアルバータ主権法」(The Alberta Sovereignty within a United Canada Act)だった。法案は、連邦政府に対する独立宣言と受け取られるリスクがあり、党内で相当な反対があったものと思われる。
これは、2006年の「カナダの中の国」騒動を彷彿させる。ケベック連合が連邦議会に「ケベック人は国を構成する」(Quebeckers form a nation)という動議を提出した。この動議は実態としては意味がなく、自党はケベック独立のために努力したが他党が反対したというポーズを取ることで、ケベック州において自党は支持を集め、他党には失わせるという策略だった。そこで与党保守党は「ケベコワは連合するカナダの中で国を構成する」(The Quebecois form a nation within a united Canada)という修正案を作成し、野党自由党と新民主党の同意を取り付け、265対16でこれを可決させるとともに、ケベック連合の動議を否決した。
自由党は保守党案に賛成投票することに決めたが、元ホッケースターのケン・ドライデン議員が造反し、反対投票した。彼は採決に先立ち、下院で騒動の全てを非難した。
「こうでなければならないというほど深刻な感じではないので、これは間違っていると感じる。これはたちの悪い、印象操作的な、ご都合主義的なゲーム、政治的なゲームのようだ。これら全てのゲームと操作が、みんなのためというわけではない。」
カナダの歴史は、ケベック独立主義者に妥協した者は例外なく破滅することを示している。妥協案だったミーチレイク協定は、与党進歩保守党の消滅とケベック連合躍進を招き、政界再編をひき起こした。独立ブラフを使ったチキンゲームは、舵取りを誤ると思わぬ結果をひき起こしかねない。
(4) ケニー前首相、州議を辞職
法案が提出された同日、ジェイソン・ケニー前首相が州議を辞職した。マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ教授は、次のように語る。
「主権法案が公表されてすぐ辞任したのは、偶然とは思わない。まるで、この法案を一切支持しないと言っているかのようだ。」
「我々は過去に異なるものを試したが、機能しなかった。」
「それで我々は、新しい何かを試すことにした。」
だがその「新しい何か」とは、議会の同意なしに政府が法律を改正できる、いわゆる「ヘンリー八世条項」だった。
(1) 法学者の反応
法案は「既存のあるいは予想される連邦の法または政策が、憲法に反しているかまたはアルバータ州・アルバータ州民・アルバータ経済に有害である場合」に、それを阻止するため「地方自治体、教育委員会、高等学校、地方警察、地域の保健当局、および州政府から資金提供されているあらゆる団体に、州の資金を強制執行に使わせないよう内閣が指示できる」と規程している。ただし法案は、カナダ憲法を無視するのを認めていない。さらに法案は、州議会を経ずに州法を改正できる権限を内閣に与えている。
このような内容は、州政府が一方的に連邦権限を否定するものであり、また三権分立の原則を覆すものとして、法学者から強い批判を受けている。
アルバータ大学のエリック・アダムス教授は、次のように述べた。
「州議会が、州の組織に連邦法を遵守しないよう命じる憲法上の権限が存在するかどうかを諮問した例は、これまでにない。」
「連邦法への拒否あるいは不服従を命令する権限が州にあると、憲法が規定している場合にのみ、そうすることができる。」
「『有害な法律』の定義は、広範囲かつ拡張性がある。そう、有害さの基準は、見る人の目にある。そして党派的な世界では、あなたが政治的見解に反すると考えるものは、何でも有害となる。」
そして「ヘンリー八世条項」については、「これは異常事態だ。前代未聞だ」と一蹴した。
トロント大学のデビッド・シュナイダーマン教授も、懸念を表明した。
「連邦法を修正することは彼らの権限の範囲内でないと、私には確信を持って思える。それがアルバータ州法なら、彼らはアルバータ州議会を迂回している。」
彼はまた法案が、アルバータ州議会を連邦法の合憲性を審査する裁判官にすることを懸念すると述べた。
「州は連邦政府と合法的な憲法上の紛争を抱えることがありえるが、それは公平な第三者である裁判所に行く。」
オタワ大学のカリシマ・マセン教授も、同意する。
「州が連邦法の効力を無効にする根拠は、憲法上明らかに存在しない。」
カルガリー大学のイアン・ホロウェイ学部長は、一連の動きを「策略」と評した。
「これは、専門家としての私の生涯で初めて見る、明らかな反憲法的策略だ。スミス首相は、政治的なチキンゲームをしている。」
ジャック・メージャー元最高裁判事は、法案に一定の理解を示した。
「連邦政府が州に意見を聞くことなく、州の反対する何かを導入するなら、州はそれを実行しないとする見解を、アルバータはこの法案で切り開くつもりなのだろう。」
「たとえば連邦政府が炭素税のような何かを強要し、アルバータがこれに反対した場合、裁判所に訴えるかどうかは州しだいである」。
ブリティッシュコロンビア大学のジェフリー・シガレット准教授は、法案は、有効なはずの法律を無効にするものと予想していた。
「もしそうなら、それは憲法上非常に疑わしいだろう。」
「この法案を読むかぎり、そうではない。それは、連邦法を無効にするものではない。」
「司法判断に従わせないために、州の職員の誰一人にも公的な権限を与えていない。そのかわり、憲法に反すると州が見なす特定の連邦法について、連邦政府に協力しないことを州に可能にする。それは全く合憲である。」
「アルバータ州は、彼らが最終的な仲裁者であるとは言っていない。彼らは、法廷は法案より上に何も持っていないとは言っていない。彼らは、裁判官の言うことをきけないとは言っていない。」
「それは、連邦政府には管轄があり、そして我々にも我々の管轄があると言っている。」
(2) トルドー首相の反応
連邦のトルドー首相は翌30日、法案についてはコメントせず「政府はどう対処するか決める前に、これがどう収束するかを注視していく」と語った。
ナビゲーター・リミテッド社が10月上旬に実施した政党支持率調査は、連合保守党38%に対し新民主党53%と、与党に分が悪いが、総選挙は2023年5月までに実施しなければならない。スミス首相は、あえて成立の見込みのない法案を提出し、州民のために戦っているポーズを取ることで、総選挙を乗り切ろうとしているという見方も強い。スミス首相の売った喧嘩を買うことは、彼女の思う壺になりかねない。トルドー首相は、法案はどうせ成立しないと見切って、あえて対処せず、検討すらしないと考えているように見える。
(3) 「連合カナダにおいて」
さて予告されていたアルバータ主権法だが、提出された法案の正式名称は「連合カナダにおけるアルバータ主権法」(The Alberta Sovereignty within a United Canada Act)だった。法案は、連邦政府に対する独立宣言と受け取られるリスクがあり、党内で相当な反対があったものと思われる。
これは、2006年の「カナダの中の国」騒動を彷彿させる。ケベック連合が連邦議会に「ケベック人は国を構成する」(Quebeckers form a nation)という動議を提出した。この動議は実態としては意味がなく、自党はケベック独立のために努力したが他党が反対したというポーズを取ることで、ケベック州において自党は支持を集め、他党には失わせるという策略だった。そこで与党保守党は「ケベコワは連合するカナダの中で国を構成する」(The Quebecois form a nation within a united Canada)という修正案を作成し、野党自由党と新民主党の同意を取り付け、265対16でこれを可決させるとともに、ケベック連合の動議を否決した。
自由党は保守党案に賛成投票することに決めたが、元ホッケースターのケン・ドライデン議員が造反し、反対投票した。彼は採決に先立ち、下院で騒動の全てを非難した。
「こうでなければならないというほど深刻な感じではないので、これは間違っていると感じる。これはたちの悪い、印象操作的な、ご都合主義的なゲーム、政治的なゲームのようだ。これら全てのゲームと操作が、みんなのためというわけではない。」
カナダの歴史は、ケベック独立主義者に妥協した者は例外なく破滅することを示している。妥協案だったミーチレイク協定は、与党進歩保守党の消滅とケベック連合躍進を招き、政界再編をひき起こした。独立ブラフを使ったチキンゲームは、舵取りを誤ると思わぬ結果をひき起こしかねない。
(4) ケニー前首相、州議を辞職
法案が提出された同日、ジェイソン・ケニー前首相が州議を辞職した。マウント・ロイヤル大学で政治学を教えるロリ・ウィリアムズ教授は、次のように語る。
「主権法案が公表されてすぐ辞任したのは、偶然とは思わない。まるで、この法案を一切支持しないと言っているかのようだ。」