投票日当日の世論調査発表は法律で禁止されているため、2日前に調査した内容を前日に発表するのが最も遅いデータとなる。4月26日にリット社が実施した政党支持率調査は、自由党42.5%、保守党38.7%、新民主党8.6%、ケベック連合6.0%、緑の党2.2%、人民党1.4%、その他0.8%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党189(144~220)、保守党125(99~163)、ケベック連合23(13~29)、新民主党5(0~17)、緑の党1(0~3)、人民党0(0~0)、その他0(0~0)(定数343議席、括弧内は最小~最大)となる。リット社は、自由党が過半数になる確率を74%とした。
ケベックでの政党支持率は、自由党40.2%、ケベック連合25.7%、保守党24.1%、新民主党5.8%、緑の党2.3%、人民党1.1%、その他0.7%という結果となった。ここから導き出される予想獲得議席は、自由党39~46、ケベック連合18~25、保守党12~14、新民主党1~1、緑の党0~0、人民党0~0、その他0~0(定数78議席)となる。
自由党は、中西部以外の全ての地域で首位に立っている。二大州オンタリオで保守党に7.8ポイント、ケベックでケベック連合に14.5ポイントリードするほか、ブリティッシュコロンビアで3.1ポイント、東部で19.0ポイントの差をつけ、過半数はほぼ確実な情勢だ。
緑の党は、メイ党首がブリティッシュコロンビア州サーニッチ-ガルフ・アイランズ選挙区の議席を死守するほか、オンタリオ州キッチナー・センター選挙区を獲得できる見込みがある。
ポワリエーブル党首は25日、保守党の牙城であるカルガリーを訪問したが、多くの批評家は首をかしげている。カルガリーは保守党にとって何の危険もない、鉄板選挙区だからだ。保守党は2019年と2021年の総選挙において、得票率では自由党を上回ったのに、議席数では敗れた。中西部では2位以下をぶっちぎり、票を余して圧勝したが、オンタリオの接戦選挙区ではことごとく競り負けたからである。オタワ大学で政治学を教えるジュヌビエーブ・テリエ教授は、ポワリエーブル党首はもはや勝とうという意欲を失っているのではないかと示唆した。
「なぜ議席数に影響のない有権者に訴えるのか?得票率を上げようとしているのか?より多くの議席を獲得しようというなら、オンタリオに行くべきだ。」
だが自由党は、主戦場とされるトロント周辺の「905エリア」でも20ポイントの差をつけている。ポワリエーブル党首は、もう一つの主戦場であるブリティッシュコロンビアへ行く途中に立ち寄ったと弁明した。彼はもはや、投票率が記録的な高さとなり、世論調査が捕捉できなかった謎の大勢力がことごとく保守党に投票するのを期待するしかなさそうだ。
今回総選挙は、二大政党の支持率が異常に高く、中小政党の支持率が異常に低いという特徴がある。これは左派の中小政党支持者が、自由党を勝たせるため「戦略的投票」で自由党に集結している可能性がある。だがトロント大学で政治学を教えるクリストファー・コックレイン准教授は、戦略的投票には落とし穴があると指摘する。政党支持率は、全国での数字が発表されるが、真に問題なのは選挙区での支持率だ。ある選挙区で新民主党候補が有利なのに、自由党を勝たせるため自由党候補に投票したら、2位の保守党候補が当選してしまうことはありえる。
ところがモントリオール大学で政治学を教えるアンドレ・ブレ教授は、世論調査で戦略的投票を考慮している有権者は全体の5%程度にすぎず、その影響力は限定的だと指摘した。