カナダの保守党政権が、温室効果ガスの排出削減について定めた京都議定書の国別目標を、期限の2012年に達成するのは不可能と表明した。AP通信が伝えた。議定書批准国のうち主要国で目標達成が不可能と正式表明したのは初めて。
新たな目標としてカナダは、現在の排出量を2020年までに20%削減するとしている。同議定書のカナダの目標値は「1990年より6%少ない排出量」だったが、その達成は大幅に遅れる見通しだ。
カナダの排出量は現在、90年より30%も多いうえ、アルバータ州で進むオイルサンド開発によってさらに急増が見込まれている。ベアーズ環境相は「失われた10年への責任までは負えない」と、自由党の前政権の無策を批判した。
しかし、同州などを支持基盤とする保守党政権は地球温暖化対策に消極的で、新たに打ち出した政策も、石油業界などの削減義務は緩やかになっている。このため、野党などから強く批判されている。
2007年05月01日
カナダが京都議定書の目標達成断念を表明、主要国で初
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この法律では、政府は60日以内に京都議定書を履行する計画を立案しなければならないが、ハーパー首相は「政府は雇用や経済に深刻な悪影響を及ぼす法案を施行する意志はない」「法案は多額の支出が予想されるのに財政法案でないから無効」として拒否する姿勢を示した。
ハーパー首相は「自由党が地球温暖化ガスの削減で1990年レベルから6%削減を実現する計画や方法を持っているなら、我々にもその情報を教えて欲しい。そうすれば一緒に目標達成に向けて行動できるだろう」と語ったが、自由党のディオン党首は「京都議定書を推進する一番の方法は政権が変わることだ」と語った。
なお「法案(bill)」はすでに成立し、「法令(act)」となっている。
カナダは自由党政権時代に京都議定書を批准したが、その後政権に就いた保守党政権は、繰り返し「京都議定書に定められた温室効果ガスの排出削減目標の達成は不可能」と表明してきた。
京都議定書では、温室効果ガスの排出を2012年までに1990年の水準から6%削減することが定められているが、カナダ政府の2006年度の報告によると、排出量は35%増加していた。ハーパー政権は4月、二酸化炭素の排出量を2020年までに2006年の水準から20%、2050年までに最大70%を削減する計画を発表していた。