
カナダはトライアスロンに3人の選手を送り込んでいた。だがカナダの狙いはただ一つ、エースのホイットフィールドを入賞させることだった。最後のマラソンまで体力を温存するため、水泳のスペシャリスト、コリン・ジェンキンスをレースに参加させ、スイムではホイットフィールドを先導して泳ぎ、次の自転車ではホイットフィールドの前を走って空気抵抗を軽減させる作戦である。
スイムを終えたとき、ジェンキンスは15位、ホイットフィールドは19位だった。最後のマラソンに入ったときは、ホイットフィールドはトップより58秒も遅れ、メダルは絶望かと思われたが、体力を十分にキープした彼は徐々にペースを上げ、先頭グループの4人の1人となった。
最後の5kmで、世界チャンピオンで優勝候補のフランシスコ=ハビエル・ゴメス(スペイン)がいつも通りスパートをかけてくると思われたが、気温28度・湿度80%の過酷な気象条件でその力は残っていなかった。レースをずっとトップで先導してきたゴメスは後退し、4位に沈んだ。優勝はドイツのヤン・フロデノ、3位はニュージーランドのベバン・ドカティだった。日本の山本良介は30位、田山寛豪は48位、ジェンキンスは最下位の50位だった。