
CTVの調査によると、アメリカ副大統領候補討論を視たカナダ人は1分当たり165万人に対し、カナダ党首討論を視たカナダ人は1分当たり300万人、のべ人数では790万人にも達し、その比率はトロントで1:3、バンクーバーで1:4、カルガリーで1:3.5となった。
いっぽうアメリカでは、9月26日に行われたジョン・マケインとバラク・オバマ両大統領候補の討論を視た人が42%だったのに対し、ペイリンとバイデン両副大統領候補の討論を視た人は55%にものぼった。
黒人大統領と女性副大統領はいずれも前例がなく、視聴率を劇的に上げる効果があった。今回カナダ党首討論に初めて出演する緑の党のメイ党首も女性であり、カナダの救世主になるかもしれないという期待はあったものの、視聴率においても議論のインパクトにおいても大きな効果をもたらすことはなかった。
メイ党首は「私は、人々がカナダのテレビ討論を生放送で視て、それからアメリカの討論をYouTubeで視ることを期待しています」とコメントした。なおすでに報じたとおり、ハーパー首相とレイトン党首はメイ党首の出演に強く反対していた。
放送作家のデニス・マクグレイス氏は、「私はペイリンの討論を視ますよ。人々はペイリンの振る舞いに興味を抱いているし、多くのカナダ人も視ているはずです」と語り、カナダ5大ネットワークを「ぼんくら」と言い放った。
カナダ総選挙の重大な折り返し点であるテレビ党首討論は10月1日と2日、初日はフランス語で2日目は英語で行われた。今回のテレビ討論では全員が英仏二言語を話したものの、ディオン党首とデュセップ党首はフランス語を母語としており、英語討論ではかなり苦心したようだ。なお過去の出演者では、キャンベル首相(進歩保守党)とマニング党首(改革党)はフランス語を話せなかった。
イプソス・リード社による「フランス語のテレビ党首討論で誰が勝利したと思うか」という世論調査では、ディオン党首(自由党)が40%と圧倒的なリードを収め、以下デュセップ党首(ケベック連合)24%、ハーパー首相(保守党)16%、レイトン党首(新民主党)11%、メイ党首(緑の党)1%という結果となり、フランス語ネイティブの圧勝という結果に終わった。
「英語のテレビ党首討論で誰が勝利したと思うか」という世論調査では、ハーパー首相が31%で勝利し、以下レイトン党首25%、メイ党首17%、ディオン党首11%という結果となった。
ハーパー首相は、英語討論においてもフランス語討論においても、4人の野党党首からアメリカ金融危機において何の対策も採らなかったと集中的に非難された。デュセップ党首は、イラク戦争について突っ込んだ質問をし、ハーパー首相に「大量破壊兵器に関する分析が正しくなかったことは明らかであり、アメリカ率いる多国籍軍によるイラク侵攻は誤りだった」と認めさせた。メイ党首は「あなたは当時首相でなかったし、誰もイラクには行かせなかったでしょう」と弁護した。
またデュセップ党首は、野党3党首を指して「私はあなたたち3人が首相になれないことを知っている。あなたたちのうち何人かもそれを知っているのに、それを口にしない」と語った。
レイトン党首は、ハーパー少数政権を内閣不信任せず延命させたとして、公式野党党首のディオン党首を非難した。
写真:討論に臨む各党党首。左からレイトン党首(新民主党)、ディオン党首(自由党)、ハーパー首相(保守党)、メイ党首(緑の党)、デュセップ党首(ケベック連合)。
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