一時は絶望視されていた保守党過半数の可能性が見えてきたと同時に、仮に過半数にわずか足りなかったとしても、他党から議員を引き抜けば過半数も夢ではない。
保守党過半数割れの場合は、野党が協力すれば内閣不信任できる状況は現状と変わらないが、今までは3ケタの最大野党自由党が中心だったのに対し、総選挙後はどの野党も保守党の半数に満たないことになり、議会運営にも変化を及ぼすことは必至とみられる。
ハーパー首相は11日トロント・サン紙のインタビューで、保守党勝利が炭素税を阻止する唯一の方法だと語り、もし選挙に敗北した場合は党首を辞任する考えを明らかにした。インタビュアーは、仮に自由党少数政権になっても炭素税が議会で否決されることもあり得るので、炭素税と総選挙敗北は必ずしも同義ではないと指摘したが、首相は
「私は勝つためにこの選挙を戦っている。メジャー政党が選挙で敗北した場合、その党は新しい党首を探すものだ」
と言い切った。世論調査では、保守党は少なくとも少数政権で勝利することが確実視されているので、首相の発言はおそらく、自由党が敗北した場合ディオン党首は辞任すべきだと迫ったものだろう。
だが自由党のディオン党首は12日、CP24テレビのインタビューで「彼は弱虫の逃亡兵だ、でも私は違う」と語り、総選挙に敗北しても辞任する意向はないことを明らかにした。
緑の党のメイ党首は12日、CTVの番組で、緑の党の候補はゲルフ、バンクーバー・センター、ブルース=グレイ=オーエン海峡、ナナイモ=アルバーニ選挙区を含むいくつかの選挙区で勝てるチャンスがあると語り、「我々は大勢の議員を擁するようになるし、議員たちに議席を私に譲るよう頼むつもりはない」と述べ、落選した場合の補選での落下傘降下を否定した。
カナダでは与党党首は首相、野党第一党党首は公式野党党首として、公邸やSPなど予算があてられる。彼らは議員である必要はないが、議員でないと党首討論ができないので、党首が落選した場合は、鉄板選挙区で若手議員が辞職し補欠選挙を行うのが通例である。この場合、他党は選挙運動は行わないのが慣行だ。ただし新民主党のレイトン党首は、党首に就任したとき連邦議会に議席がなかったが、補選を要求せず2004年総選挙で初当選した。
メイ党首はノバスコシア州セントラル・ノバ選挙区において、11年間議席を保持している保守党のピーター・マッケイ国防大臣に、世論調査で7ポイントの差をつけられているにもかかわらず勝つ見込みがあると語った。
「世論調査の結果や街の雰囲気を見れば、私がマッケイ候補を破るのも夢ではないと感じています。」
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