
パラダイス市長選は当初、現職のラルフ・ワイズマン候補の圧勝と思われていた。ところがパラダイスは、海底油田開発によってブームタウンとなり、人口1万4000人の都市でここ2年間に新しい家が1000軒も建てられ、上下水道の整備が遅れていた。
メモリアル大学に通うクームズ候補は、いかなる党派からの支持も受けず、泡沫候補と見られていたが、個別訪問を通して上下水道の整備を約束し、支持を広げてきた。
「人々は初めは懐疑的だったが、私の話を聞くうちに、次第に私が町を心配している本物の候補だと思うようになった。」
「私はこれまで、学業とアルバイトとボランティア活動を両立してきた。公務と両立できないと思っていたら、立候補はしていない。」
9月29日の集計結果は、クームズ候補1821票・ワイズマン候補1818票と、3票差でクームズ候補を当選者とした。アラン・イングリッシュ市会議員はこの結果を、インフラ整備の立ち遅れに対する現職市長への抗議投票だと分析した。
ワイズマン候補は「対立候補は、ネガティブ・キャンペーンに終始していた。しかし私は有権者に対し、非常に正直かつ誠実で、有権者が望めることを語ってきた」とコメントし、同時に投票の数え直しを要求した。
ところが10月1日の再集計は、両者同数となった。ニューファンドランド&ラブラドル州選挙法は、同数の場合は抽選を行うことを定めている。くじ引きの結果、ワイズマン候補の名を記した紙が引かれた。当選からわずか1日で奈落の底に突き落とされたクームズ候補は、裁判所による再集計を要求した。
10月6日、裁判所は再集計を命じた。10月13日に再集計した結果は、やはり両者1821票の同数となった。市長は投票の14日以内に宣誓することが法律で定められており、この日はその最後の日だった。選挙管理委員会は、ワイズマン候補を当選者と決定した。
写真:カーティス・クームズ候補。