アレン議員のオンタリオ州ウェランド選挙区は、オンタリオ南部の都市と郊外の両方を含んでいる。彼はこの3週間、直接あるいは電話で地元有権者の声を聞いてきた。その結果、有権者の反応はどちら側も多かったが、彼は長銃登録制度を存続させることを決意した。
「保守党は、有権者の声を聞けと言い続けてきた。だから聞いたよ。」
22日に予定されている採決では、保守党議員144人は全員が賛成投票する。保守党を除名された無所属のヘレナ・ジョージス議員も賛成投票する。第二読会では8人が賛成投票した自由党は、党議拘束をかけて75人の議員全員が反対投票することになっている。ケベック連合は、引退を表明していたジャン=イブ・ロワ議員が投票後まで引退を先送りすることを決定したので、48人が反対投票する。
アレン議員の転向により、現在の票読みは151対151の同数と考えられている。可否同数の場合は、ピーター・ミリケン議長の投票で決する。ミリケン議長は自由党政権時代から9年務め、最長在任記録を更新しているが、下院の歴史において過去10回あった可否同数のうち、5回がミリケン議長の時代である。ミリケン議長は自由党議員だが、可否同数の場合は廃案にせず継続審議にする慣例があるため、賛成投票することになる。
保守党は、法案通過を確実にするためもう2・3人の造反が欲しいところである。そこで保守党は、第二読会で賛成投票した8人の自由党議員と12人の新民主党議員の選挙区で、集中的にキャンペーンを展開している。ラジオの広告では「採決は、本当に際どい勝負となるだろう。だがこれだけは覚えておいて欲しい。我々の代議員は、オタワのボスから反対せよと命じられているのだ」と訴えている。
第二読会で賛成投票した新民主党議員12人のうち、6人は転向しないと明言している。ニキ・アシュトン議員(マニトバ州チャーチル選挙区)は、どちらに投票するかを明確にしていない。キャロル・ヒューズ議員(オンタリオ州アルゴマ=マニトウリン=カプスケイシング選挙区)は、法案を廃案にするような投票はしないと語っているが、賛成するとも棄権するとも受け取れ、判然としない。
与野党の壮絶な草刈り場となった新民主党のレイトン党首は、党の分裂を逆に、幅広い勢力に支持された自由な党というイメージに変えようと、「我が党は自由党や保守党のような上意下達政治を拒否する」と述べたが、ナノス・リサーチ社のニック・ナノス氏はこう分析している。
「都市部の新民主党支持者は、長銃登録制度が廃止されそうになると慌てて自由党支持に走るだろう。そして地方の新民主党支持者は、長銃登録制度廃止を望んで保守党支持に回るだろう。新民主党はどちらに投票しようと、必ず負けるゲームをやっていることに変わりはない。」
だが新民主党のジョー・コマーチン議員は、このような見方に反対する。
「あらゆる調査は、長銃登録制度は投票行動を決定する動機の1%に満たないことを示している。しかし我が党のどの議員も、選挙区で1%以上得票している。」
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