
カナダ人女性が1月26日、イギリスのリバプール・ホープ大学で、世界初となる「ビートルズ学・ポピュラー音楽と社会」の修士号を取得した。この女性はオンタリオ州オークビル出身のメアリー=ルー・ザハラン=ケネディ(55歳)さん。
彼女が修士号を手にするまでには、「長く曲がりくねった道」があった。彼女はリバプール・ホープ大学に入る前は、オークビルにあるシェリダン工科大学で音楽を教えていた。歌手としてすでに3枚のCDを出し、1983年にはカナダで最も権威ある音楽賞であるジュノー賞にノミネートされている(この年の受賞者はリディア・テイラー)。また1976年には、準ミス・カナダにも選ばれている。
オンタリオ州は、大学の教員に大学院修了程度の学歴を必要とする制度改正を行った。ザハラン=ケネディさんが新聞で「ビートルズ学」の募集要項を目にしたのは、そんなときのことだった。
マイク・ブロッケン教授は、ビートルズ学の講座を始めるにあたりこう述べていた。
「これまでビートルズに関する著書は8000以上あったが、アカデミックな研究書は存在しなかった。ビートルズは音楽だけでなく、ファッションなどにも影響を与えている。解散から40年、今こそビートルズ学を研究する適切な時期である。」
ただし、受講するにはリバプールに在住することが要件となっていた。かつて港町として栄えたリバプールは、人口がビートルズ時代の100万人から45万人に激減しており、移住者誘致の側面もあったのだろうか。彼女は夫と娘たちをカナダに残し、2009年9月にリバプールに単身転居した。
修士論文のタイトルは、「ポストコロニアル・カルチャー資本-カナダにおけるビートルズの早期浸透とマーケティングの関係」である。ザハラン=ケネディさんは、こう説明する。
「私たちは非常に多岐にわたりイギリス文化の影響を受けており、それがアメリカより1年早くビートルズがカナダで受け入れられた理由です。私たちは今も女王が描かれた紙幣を用い、私たちの郵便受けはイギリスのものにそっくりだという事実に突き当たるのです。」
彼女は、世界初のビートルズ学修士となった心境について、次のように語った。
「どんなことであれ、世界初となることは素晴らしいものです。友人たちの多少の援助もあり(With a little help from my friends)、人生最高の日々を過ごすことができました。」