各党は表向きは連立を公言しないものの、自由党と新民主党の左派両党は、水面下では保守党を政権から引きずり降ろすための連立あるいは政策協定を模索しているとも言われる。
両党のベテランは、1985年にオンタリオで成立した「自由党=新民主党政策合意」を思い出す。総選挙の結果、進歩保守党52・自由党48・新民主党25(定数125議席)となり進歩保守党が政権を維持したが、自由党と新民主党は政策合意(連立協定ではない)を結んだのち、内閣不信任して政権を奪取した。小勢力だった新民主党は、自由党政権を2年間閣外から支えたのち、1990年総選挙に勝利して初の新民主党政権を樹立した。
自由党の事情通は、1985年の選挙期間中には連立に関して何の公約もなかったことを強調した。つまりは、現在行われている連邦議会選挙でも連立は言及されてなく、ゆえに有権者の委託を受けたとは言えないが、制度上可能だというのである。
新民主党の事情通によると、連立が成立するためには、数が偶然に揃わないといけないのだという。連立にとって最もいい条件は、自由党140議席・新民主党120議席(定数338)で、これなら関係はより長く、より深いものになるのだという。しかし自由党80議席・新民主党160議席の場合は、自由党が拒否するだろう。
自由党にとって最悪のシナリオは、保守党150議席・新民主党130議席・自由党60議席だという。この場合、ハーパー首相が少数政権を築くことになり、彼はスローン・スピーチ(所信表明演説)にTPP合意を成果として盛り込むことになる。
選挙戦では一貫して自由貿易を訴えてきたトルドー党首は、そのとき果たして首相を支持して賛成投票するだろうか。それとも、自由貿易を訴えながら反対投票するのだろうか。
保守党は資金集めに苦労することはないため、保守党が少数政権を築く場合、数か月後にでも抜き打ち解散・総選挙を行い、疲弊した野党を一掃して過半数を取り戻すこともありえる。
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