ブリティッシュコロンビア州議会は、6月22日に召集される。冒頭でまずスローン・スピーチ(所信表明演説)が朗読され、信任投票を行う。過半数を占める新民主党と緑の党は、すでにクラーク内閣を不信任する協定に合意しているため、スローン・スピーチは不信任される。これは内閣不信任と見なされるため、クラーク首相は総辞職か解散・総選挙のいずれかを選択することになる。副総督は解散・総選挙に同意しないだろうし、クラーク首相もそれを要請しないと明言している。よって慣例に従い、クラーク首相は辞表を提出し、最大野党・新民主党のジョン・ホーガン党首に組閣を命じるよう、副総督に要請するだろう。
クラーク首相は、緑の党の協力を取り付けることに失敗した。緑の党は、新民主党を政権に就ける道を選んだ。クラーク首相は、なぜすぐに総辞職せず、スローン・スピーチまで首相の座にしがみつくのだろうか。
彼女は、自由党党首の職を辞任していない。そのつもりがあるなら、とっくにそうしているだろう。よって新政権発足後、彼女は最大野党党首として「影の内閣総理大臣」を称する。自由党は依然として議会の最大勢力であり、過半数に1議席足りないだけである。議員は病気になったり、死亡したり、辞職したりする。補欠選挙は一般に、【政権交代をひき起こさないため】与党への批判票を集めやすく、野党が有利になる(ただしこの情勢では別である)。クラーク党首は、あと1議席を獲得し首相に返り咲くため、ありとあらゆる手段に訴えるだろう。
ブリティッシュコロンビア自由党の元党首デビッド・アンダーソン氏は、クラーク首相の一見不可解な動きを、以下のように説明する。今回総選挙で自由党は、右派に訴える政策を主張して、バンクーバー郊外の中道票を失った。スローン・スピーチは自由党にとって、中道寄りへの軌道修正をアピールする機会となる。彼女はここに、新民主党右派が喜びそうな政策を盛り込んで、新民主党と緑の党に反対投票させる。これがあとで、議会での討論や次回総選挙に効いてくるのだ。
トランスマウンテン・パイプラインの延伸は、アルバータ新民主党政権とブリティッシュコロンビア新民主党新政権の対立を、すでにひき起こしている。
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