2024年06月16日

補選に史上最多の84人が立候補

 6月24日に実施される、オンタリオ州トロント-セントポール選挙区の補選は、史上最多の84人が立候補することになった。そのうち75人が無所属候補で、そのほとんどは小選挙区制に反対する市民団体「最長投票用紙委員会」に関連する候補である。
 同委員会から同選挙区に立候補しているグレン・マクドナルド氏は「現行の選挙制度はふざけていて、その結果は不正確であり歪曲されているという事実を、我々は浮き彫りにしたい」と語り、最近の2つの総選挙で自由党が得票率最多でなかったにもかかわらず勝利した事実を挙げた。
 同様に、同委員会から同選挙区に立候補しているジュリー・サンタマン氏も、現行の選挙制度は過半数の票を得なくても、単に最多であれば当選してしまうと批判した。
 改革党議員だったスティーブン・ハーパーは、保守票が改革党と進歩保守党に割れることで自由党一党支配を許している状況に対し、優先順位付き連記投票を提案したが、両党が合併したカナダ保守党が2006年に小選挙区制で政権を奪取すると、ハーパー首相は選挙制度改革を反故にした。
「ひとたび小選挙区制で勝った人が、わざわざ選挙制度を改め、次は負けるかもしれないリスクを冒すだろうか?」
と、サンタマン氏は語った。

 これまでの最多記録は、2022年のオンタリオ州ミシサウガ-レイクショア選挙区の補選で40人が立候補したものと、2023年マニトバ州ウィニペグ・サウスセンター選挙区の補選で48人が立候補したもので、無所属候補がミシサウガ-レイクショア選挙区は35人、ウィニペグ・サウスセンター選挙区は42人立候補したが、そのほとんどは最長投票用紙委員会に関連する候補だった。なおミシサウガ-レイクショア選挙区補選には、現時点で109回落選し世界記録を保持しているジョン・ターメル氏も立候補した。
 今回の補選は、キャロリン・ベネット議員(元厚生大臣)の引退にともなうものだが、この選挙区は自由党が31年間保持している鉄板選挙区である。
 政党からの立候補者は、以下の通りである。(※実際の投票用紙は、姓のアルファベット順になる)

レスリー・チャーチ(自由党)
ドン・スチュワート(保守党)
アムリット・パーハー(新民主党)
クリスチャン・クリス(緑の党)
デニス・ウィルソン(人民党)
アリ・モヒュッディン(中道党)
メニコ・ターコット(マルクス=レーニン主義共産党)
ダニー・レガレ(マリファナ党)
ショーン・カーソン(サイ党)
セバスティエン・コリノ(無所属)(※サイ党党首)
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 カナダの投票用紙は、日本のように白票に有権者が名を書く自書式ではなく、全候補者が印刷された用紙に印をつける記号式である。立候補者があまりに多いため、通常は1段の投票用紙が、今回に限り2段になっているが、それでも横幅30センチ・長さ90センチとなった。投票箱にはこの用紙が1000枚入るが、選挙管理委員会は投票箱を100個用意した。
posted by 高橋 幸二 at 08:27| Comment(0) | オンタリオ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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