「ジョン・ラスタッド党首と私は、全てについて合意したわけではないが、一つ明確なことがある。新民主党のさらなる４年を許すことはできない。」
総選挙はまだ正式に公示されてないが、法律で10月19日までに実施することになっており、選挙戦は実質的に始まっている。次の総選挙の定数は93で、BCユナイテッドは57人の候補を擁立していたが、同党からの出馬はできなくなった。同党には20人もの現職州議がいるが、保守党からの立候補を模索することになるだろう。なお保守党は、83人の候補をすでに擁立していた。
法の規定上、ファルコン党首は党として擁立しないと言うことしかできず、個々の候補者に断念させたり、保守党からの立候補を強制したりすることはできない。相当数の候補はすでに、保守党から出馬するよう公然と活動していた。なおファルコン党首自身は出馬しないという。
現職州議は優先的に擁立されるだろうが、新人候補には何の保証もない。立候補を辞退するか、無所属で出馬するか、新党を結成することはできる。
BCユナイテッドの候補擁立により、保守党候補が辞退に追い込まれる事例も見られる。firejohnrustad.caという批判サイトも開設されたが、ラスタッド党首はそれを他党の陰謀だと言い、党内からの批判ではないと断言した。
ブリティッシュコロンビア大学で政治学を教えるスチュワート・プレスト教授は、驚きを隠さなかった。
「これがついさっきまで、次の選挙を戦おうとしていた党なのか。そして白旗を振り、このように身を引く。こんな話は、いまだかつて見たことがない。」
同じくブリティッシュコロンビア大学のジェラルド・ベイヤー准教授は、ファルコン党首によるただ一つの痛恨の過ちを指摘した。
「もしケビン・ファルコンが戻り再考できる一度のチャンスがあるなら、それはラスタッドの追放だろう。」
キャンベル内閣とクラーク内閣の閣僚を務めたファルコン氏は、2022年２月５日BC自由党党首に当選した。彼は党首選で、党名変更を公約した。
1903年に結成されたBC自由党は、連邦政治と同様に、BC保守党（当時はBC自由保守党）と二大政党の一角を担った。1940年代になると、台頭する左右の新党CCF（後の新民主党）と社会信用党に対抗するため、中道のBC自由党とBC進歩保守党は連立政権を組んだ。だが1952年からは社会信用党とCCF（新民主党）の二大政党制となり、BC自由党とBC進歩保守党は79年に全議席を失った。
1991年社会信用党が汚職で没落すると、BC自由党は野党第一党となった。左派のBC新民主党に対抗すべく、BC自由党は連邦自由党とは異なり、中道右派のポジションを取った。1987年には、連邦自由党との提携関係を解消した。BC保守党は泡沫政党に成り下がり、連邦保守党の支持者はBC自由党を支援し、連邦自由党の支持者はBC新民主党を支援するというねじれが生じた。2001年から2017年まで、BC自由党は長期政権を築いた。
党名変更は、リベラルイメージを払拭し、中道左派から中道右派へのアピールを狙っていた。2022年11月16日党員の80％に承認され、翌年４月12日に変更された。新しい党ロゴは、連邦自由党の赤・連邦保守党の青とは異なり、党名の上にピンクとアクアブルーが乗っていた。
党名変更後、BCユナイテッドの支持率は36％から19％に下落した。世論調査は、有権者の３分の１が党名変更を知らないことと、連邦保守党の支持者を急速に失っていることを示した。いっぽう保守党の支持率は、２％から25％に上昇した。
ジョン・ラスタッド州議は2022年８月、二酸化炭素の排出が地球温暖化の原因になっているという主張に疑義を申し立てたツイートについて、訂正を拒否したためファルコン党首によって除名された。彼は2023年２月16日保守党に入党し、３月31日党首に就任した。このころ８人の州議が、相次いで保守党に移籍した。党員は500人から9000人に増えたという。
８月30日にアンガス=リード社が実施した政党支持率調査は、保守党44％、新民主党43％、緑の党10％、その他３％（BCユナイテッドは選択肢にない）だった。BCユナイテッドを含む最後の政党支持率調査は、８月17日のもので、保守党39％、新民主党36％、BCユナイテッド12％、緑の党11％、その他２％だった。
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