アルバータ州のスミス首相は、アルバータ人権憲章の改正案を提出すると発表した。それは3つの権利を付加するもので、合法的に銃を入手し保有し安全に使用する権利、予防接種とあらゆる医学的決定について本人の選択が尊重される権利、法的執行と代償なしに財産を奪われない権利、である。
アルバータ人権憲章が1972年に制定されたときは、6つの権利が規定された。自由・安全・財産を享受し法的執行によらず奪われない権利、法の下の平等と法により保護される権利、信教の自由、言論の自由、集会と結社の自由、出版の自由、である。2015年の改正では、(トランスジェンダーの)子に対する親の教育が尊重され親に通知される権利、が追加された。
アルバータ人権憲章はアルバータ州だけに適用され、それは他州や連邦議会に影響を与えない。だがアルバータ大学で憲法学を教えるエリック・アダムズ教授は、アルバータ州政府はアルバータ議会の決定は侵害されてはならない、人権は侵害されてはならないと主張するかもしれないと考える。
連邦といくつかの州には成文憲法があるが、アルバータ州にはない。だがアダムズ教授は、アルバータ人権憲章は慣習上アルバータの不文憲法の一部と見なされる可能性があると指摘する。人権憲章は形式的には法律であり憲法ではないので、これに反する法律を優位に無効化はできない。したがって裁判官は両方が機能する方法を見つけるか、さもなくば一方の無効を宣言することになる。ただし、人権憲章が事実上の憲法と見なされた場合は別である。
彼はまた、刑法は連邦議会の管轄だと指摘した。
「一部の人々は、それに驚くと私は思う。それはあたかも銃を所有する権利があり、誰も阻止できない権利のように聞こえる。ところが連邦議会には銃使用を合法的に制限する権限があり、アルバータ人権憲章には権限も管轄もない。」
「アルバータ人権憲章は、州民に銃を所有する権利があると言うかもしれない。だが連邦議会の法は、それらの権利に何度でも勝てそうだ。」
全国銃協会(NFA)のブレア・ヘーゲン副理事長は、連合保守党の2024年の党大会に出席し、人権憲章の改正を働きかけている。彼は、銃規制は連邦政府の管轄だと認めたが、これは将来の銃所持解禁に向けた「象徴的な一歩」だと語った。
銃規制と異なり、健康保健は明確に州の管轄である。スミス首相は、ワクチン差別について語った。
「近年、身体の自治に関する権利が十分に保護されていないとき、挑戦と困難が起きることを我々は見てきた。」
「アルバータ州民が完全な同意なしに、治療を受けるよう服従させられたり、圧力をかけられたりしてはならないことは、私の強固な信念である。」
「新型コロナ流行の際、公務員がワクチンを接種しなかったため解雇されたとき、2つの裁判があった。一つは看護師組合によるもので、もう一つはアルバータ公務員組合によるもので、我々はどちらも負けた。」
カナダ憲法に財産権の規定がないのはよく知られているが、1960年制定のカナダ人権憲章には規定されている。アダムズ教授は、財産権はすでに既存の法律で保護されており、静観すると語った。
2019年に制定された連邦影響評価法は、2023年最高裁によりその多くが違憲と判断された。そこで連邦政府はこの夏改正案を提出したが、スミス首相はこれに不満を抱き、4週以内に更なる改正がなければ提訴すると迫った。
連合保守党党首に2022年10月就任したスミス首相は、党員による党首信任投票を11月上旬に控えている。党則では過半数の票を獲得すれば留任できるが、現実には信任が70%以下の場合は、反対派を抑え込むため党首選の開催を余儀なくされる。彼女は信任投票を乗り切るため、党員たちの要望に沿って戦うポーズを見せる必要がある。アルバータ新民主党のネンシ党首は、スミス首相の動きをただのパフォーマンスだと断言した。
「好都合なことに、スミスの信任投票直前に期限切れになるよう設定されたこけ脅しは、アルバータ州民にコストがかかり、企業が投資判断を迫られる貴重な時間を浪費する。」
「企業が法廷闘争より明快さを求めるとき、彼女は勝利するより戦うことを求める。」
2024年10月06日
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