歴史的接戦は、新民主党と保守党による激しい中傷合戦でもあった。新民主党は、45年も議席を獲れなかった党に政権を任せられるかと訴えた。保守党は、犯罪の増加、物価上昇、住宅価格の高騰、病院の混雑、90億ドルの財政赤字を挙げ、7年間の新民主党政権で暮らしはよくなったのかと訴え、最後には学校でのセクシャルアイデンティティ教育や、住宅費の所得税からの控除、プラスチック製ストロー復活さえ言及した。それらはサーレー、リッチモンド、フレイザーバレーで新民主党から議席を奪うのに有効だった。
BCユナイテッド(旧BC自由党)は保守票分散を避けるため、候補を擁立せず保守党に合流したが、今回総選挙は40人の無所属候補と14人の独立系候補が立候補した。うち18人は、BCユナイテッドに候補擁立されその後公認を取り消された人たちで、そのうち5人は現職州議だったが、全員落選した。これらの存在は、結局は保守票分散につながり、新民主党有利に働いた。なおブリティッシュコロンビアの歴史上、無所属候補の当選は過去60年間でビッキ・ハンチントン氏一人で、2009年と2013年に二度当選している。
ラスタッド党首は、トルドー首相の不人気に乗じ、彼とイービー首相の「同盟関係」を攻撃したが、人気のある保守党のポワリエーブル党首はBC保守党支持を公言しなかった。BC保守党は長い間議席がなく、連邦保守党は長年BC自由党を支援していた。
新民主党は、SNSでの7年も前の発言を引っ張り出し、保守党候補7人について「政権与党にそぐわない」として公認から外すよう要求さえした。だが彼らの何人かは当選し、何人かは当落線上で争っている。世論調査は、保守党候補の昔の発言より、犯罪や物価に有権者が強い関心を持っていることを示していた。
選挙結果はまだ確定していないが、どの党も過半数を獲れない公算が強い。2017年総選挙と同様、わずか2議席の緑の党がキングメーカーになりそうだ。
緑の党支持者は、政策的に近い新民主党にシンパシーを抱くだろう。だが緑の党は2017年、第2党の新民主党と手を組み政権を取らせたにもかかわらず、新民主党は高支持率を背景に協定を破り、2020年9月解散・総選挙に打って出て、単独過半数を獲得すると緑の党を政権から追い出している。イービー首相は、すでに緑の党と交渉していると述べた。
ラスタッド党首は、選挙結果が確定していないにもかかわらず「野党になったら早期に政権を打倒する」と語った。
【関連する記事】