2025年01月03日

内閣不信任を巡る攻防

 自由党の党則は、総選挙のあと党首が首相にならなかった場合は党首の信任投票を行うと定めている。トルドー党首は全ての総選挙に勝利し首相になっているので、信任投票は行われていない。改革法の規定では、連邦議会召集時に幹部会で、改革法を採択するかどうかを採決する。採択する場合は、幹部会は党首を不信任でき、党首は議員を幹部会から追放できるが、自由党は採択していないので、党首を不信任する根拠がない。結局トルドー党首が自ら辞任しないと、党首を代えることはできない。

 内閣不信任動議は通常、「野党の日」に野党が提出する。「野党の日」は会期中に7日間設定しなければならず、各野党に議席数に応じて配分される。「野党の日」をいつ設定するかは、与党下院院内総務の裁量であり、最も遅い場合で3月26日ということもありえる。
 下院公共歳入委員会のジョン・ウィリアムソン委員長(保守党)は、1月7日に委員会を召集し、そこで内閣不信任を提案すると語った。委員会の構成は自由党5・保守党4・ケベック連合1・新民主党1で、委員会を通過する可能性が高い。通過した場合、27日に連邦議会が召集されるので、ここで本会議に提出すると、早ければ30日に採決される。本会議に提出されると自由党は阻止する方法がないので、議事妨害に訴える可能性もある。

 このような紛れを回避する最上の方法は、議会の停会だろう。自由党が野党なら、次期党首を幹部会だけで選出し暫定党首でいいが、与党であり次期党首は首相になるので、暫定党首であってはならず、全党員による党首選を開催しなければならない。党則では、立候補者は投票の90日以上前に届けを提出しなければならないから、フルセットの党首選には90日以上が必要となる。党首選の最中に内閣不信任のような煩わしさを回避するには、停会が最適となる。
posted by 高橋 幸二 at 21:07| Comment(0) | 自由党 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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