クリスティ・クラーク元首相は1月14日、フランス語の不備と党首選の期間が短すぎることを理由に、党首選立候補を断念した。
彼女は2022年カナダ保守党党首選でジャン・シャレー氏支持を表明し、投票するため入党すると述べたが、結局入党しなかったと説明した。だが保守党が彼女の入党記録をインターネットで公表すると、彼女は前言を翻した。
「私は間違えた。間違いはあるものだ(Shit happens)。」
不出馬宣言は、その直後に飛び出した。
「私はこの党首選にはいないが、私は戦うのを止めない。ピエール・ポワリエーブルは、ドナルド・トランプよりむしろカナダ人を攻撃する。」
クリスマスに彼女が投稿したビデオ・メッセージでは、特訓の甲斐もあり、彼女のフランス語は発音も文法も上々と思える。だが政治日程上の理由で、党首選は短期決戦となった。政治評論家のカリーム・アラム氏は、序盤早々にエラーした彼女には、そのダメージを忘れてもらうにはあまりにも選挙期間が短すぎると説明した。
「保守党党員資格にまつわるエラーは、彼女の党首選における信頼性を著しく損なった。」
フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ イノベーション・科学・産業大臣は14日、出馬断念を発表した。彼はトルドー首相に忠実で、精力的に働き、その潜在的後継者と見られていた。
アニータ・アナンド運輸大臣兼国内貿易大臣は11日、党首選不出馬と、次回総選挙にも出馬せず引退すると発表した。彼女はカナダ初のヒンズー教徒の大臣で、2021年女性では2人目となる国防大臣に就任したが、軍内部のセクハラ問題を解決できず、2023年予算庁長官に異動し、降格と噂された。
スティーブン・マッキノン労働力開発・労働大臣は熟慮の末、選挙期間が短いことを理由に不出馬を表明した。
「党は岐路にさしかかっており、重要な決定を迅速にしなければならない。」
「残念なことに、利用できる時間は、私が出たい選挙に出馬するのを許さない。」
メラニー・ジョリー外務大臣は10日、対米関係に専念するため立候補しないと発表した。彼女は、「アメリカ・ファースト」を叫ぶトランプ次期大統領に対抗するかのように語った。
「私は、国家ファーストに決めた。」
彼女は党首選に向けていち早くスタートを切り、支持者を集めたと言われた。彼女の不出馬によって、陣営は目標を失ったようにも見えるが、彼女は誰を支持するかをあえて明かさない。
「率直に言って私には、本当に高いチャンスがあったと思う。」
「私には、組織化された基盤がある。我々はこの党首選で、重大な役割を演じるだろう。」
ドミニク・ルブラン財務大臣は、ロメオ・ルブラン元大臣の息子で、親子2代にわたりトルドー首相親子に仕えた「腹心の友」である。ドミニク・ルブラン氏は、3歳年下のジャスティン・トルドー氏のベビーシッターを務め、トランプ氏に「彼は今でもそれをやっている」と皮肉られた。今月初めには、トルドー党首が党首の座をルブラン氏に禅譲すると報じられたが、何らかの理由で実現しなかった。彼は8日、出馬しない意向を表明した。
(2) 出馬する候補
ジェイム・バチスト議員は13日、立候補を宣言した。
彼は2019年、ミックマック族初の下院議員となり、先住民初の首相として歴史に名を刻みたいと語った。
「(※インディアン初の州首相)ワブ・キニューの前に、イライジャ・ハーパー(※州議)がいなければならなかった。」
「挑戦する人々が、常にいなければならない。たとえ彼らの行動が、未来の世代への道を開くものだとしても。」
フランク・ベイリス元議員は9日、誰よりも早く出馬を表明した。
彼は2015年総選挙で当選し、2019年総選挙には出馬しなかった。ケベック州で公務員の宗教的シンボル着用を禁止する21号法に、強く反対している。
チャンドラ・アーヤ議員も同日、出馬を宣言した。だが彼はフランス語が苦手どころか全くできず、話す必要があるとすら考えていないため、疑問視されている。
彼は、王制廃止を主張している。
(3) 考慮中の候補
実績と知名度では圧倒的な政権ナンバー2、クリスティア・フリーランド前副首相は、トランプ大統領が20日に就任するのに先駆け、今週中に出馬を表明すると報じられている。ウクライナ系の彼女はロシアに批判的で、プーチン贔屓のトランプ氏と仲が悪いと噂された。トランプ大統領がNAFTA(北米自由貿易協定)を脱退しこれを解体したのに対し、フリーランド氏は2018年、三国による新しい貿易協定USMCAを締結し評価された。党内では、トランプと渡り合えるのは彼女しかいないともっぱらの評判である。
ルブラン氏の不出馬により、マーク・カーニー元総裁はその支持を集めたという。彼は支持する議員を30人以上集め、16日に出馬を表明すると報じられている。
彼はノースウェスト準州フォートスミスに生まれ、エドモントンで育った。ハーバード大学とオックスフォード大学で経済学を学び、ゴールドマン・サックス勤務を経て財務省に入省。2008年カナダ銀行総裁に就任し、リーマンショックを乗り切った。2013年には、外国人で初めてイングランド銀行総裁に就任した。
物価対策に苦しむトルドー首相は、経済に明るいカーニー氏を政権に入れ、景気立て直しと支持率上昇を目論んだ。カーニー氏は2024年9月、自由党の特別補佐官に指名され、このころから彼の財務大臣登用と、フリーランド財務大臣更迭、そして党首・首相の禅譲が噂されたが、トルドー政権の命運は尽きたと見て、彼が短期の大臣を引き受けることはなかった。
トルドー首相が退陣を表明するまで、彼は党首への野心を口にしなかった。
「私が興味を抱いているのは何かをすることであって、何かになることではない。」
カリナ・グールド下院院内総務も、今週出馬すると言われている。37歳の彼女は候補のうちで最も若く、2018年に息子を出産したとき、史上初めて産休を取った大臣になった。
ジョナサン・ウィルキンソン エネルギー・天然資源大臣は、党首選出馬を「前向きに考慮」しており、今週中は明言しない。
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